全国大学生ビジコン、応募約700件から選ばれた今年の頂点は?

キャンパスベンチャーグランプリ、受賞プランは社会世相を反映

歴代の受賞者からは多くの起業家が生まれている

 学生によるビジネスプランコンテスト「第12回キャンパスベンチャーグランプリ全国大会」(主催=日刊工業新聞社、後援=内閣府、経済産業省、文部科学省、経団連、日本商工会議所)が10日、東京・霞が関の霞山会館で開かれ、「ビジネス部門大賞・経済産業大臣賞」に立命館大学の芳本大樹さんの「ICTを利用した認知症予防教室『まなびや』」が、「テクノロジー部門大賞・文部科学大臣賞」に早稲田大学の葦苅晟矢さんの「昆虫飼料活用による食糧循環型システムの確立」が、それぞれ輝いた。  各務茂夫審査委員長(東京大学教授)は「入賞した案件は社会に問題提起しアクションを起こし、実証検証したことをフィードバックしている。そのため説得力があり、人を引き込むものになっている」と講評し、これからの成長へ期待を寄せた。 全国8地区の大会を勝ち抜いた計14人・チームが出場し、プランを競った。芳本さんは「この4月に法人登記する。拠点とする関西を盛り上げたい」、葦苅さんは「学生なりにできることを地道にやってきた。事業化には時間がかかるが、受賞してさらにやる気が出てきた」と喜んだ。 【MIT賞/日刊工業新聞社賞】 ◇イチゴソムリエによる「Kanjuku―Ichigo」のブランディング事業(宇都宮大学大学院・高橋庸平) 【審査委員会特別賞】 ◇Re:ACT「大学講義に変化を起こすアプリケーション」(名古屋大学大学院・松下健)◇SmartAIS―小型船舶の安全な航海を支援するシステム―(弓削商船高等専門学校・瀬尾敦生) ◇広告機会の創造と認証機能を兼ね備えた新しい認証方式(岐阜大学・正木悠介) <代表者、敬称略> <次のページは、北海道、東北、東京、中部各大会の受賞者>  第11回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)北海道は36件の応募があり、5件の入賞プランを選定した。最優秀賞は東京農業大学・原口智江さんのグループの「オホーツクメモリー ホタテの貝殻を利用した雑貨の販売と旅人向け職業体験型ツアー『オホーツクワークトラベル』の提案」。北海道東部のオホーツク圏の産業であるホタテの養殖に着目。ホタテの貝殻を用いた雑貨・アクセサリーの販売や農業や漁業の職業体験型格安ツアー「オホーツクワークトラベル」でオホーツクの魅力を発信する。  優秀賞には、苫小牧工業高等専門学校・木下大輔さんのグループの「組込みシステム技術教育支援事業『TECL(テクル)』」が選ばれた。開発した組み込みシステムの教材を販売するNPO法人を設立し、技術者の育成を目指す。 その他入賞プランと応募代表者は次の通り。(敬称略) ▽奨励賞=萌えるスタンプラリーイベントで地域活性化(小樽商科大学・長濱谷圭汰) ▽努力賞=ベビーカーユーザによる車いすのためのアプリ「クルちゃん」(公立はこだて未来大学・西尾洋輔) ▽同=学生ガイド検索サイト(北海学園大学・大桑直人)  第11回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)東北」の最優秀賞に宮城大学・逢坂結実さんらの「『白菜の根』を食べて健康100歳になろう―『白菜の根』食文化形成・発信Project−」が選ばれた。現在は未利用の白菜の根を使った加工食品の開発、提供を通じて、白菜の根の食文化形成を目指す。  その他の受賞テーマと代表者は次の通り(敬称略)。 ▽特別賞東北経済産業局長賞=入院患者の困り事解決ウェブサービス”NEWIN“(東北大学・坂倉悠哉) ▽同日刊工業新聞社賞=茶道所作評価「どこでも茶道」による日本文化の発信ビジネスモデルの提案(東北大学・松田佳歩) ▽奨励賞=県産のホタテと野菜の栄養価を高めた「炊き込みご飯の素」の提案―(八戸工業大学・加賀雄士) ▽奨励賞=有機EL窓の企画・窓用風景映像配信サービス事業(山形大学大学院・丸山寛花)  関東甲信越地域の学生によるビジネスプランコンテスト「第12回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)東京」(りそな銀行、日刊工業新聞社共催)の最終審査会が25日、東京・霞が関の霞山会館で開かれ、大賞に宇都宮大学大学院の高橋庸平さんによる「イチゴソムリエによる『Kanjuku―Ichigo』のブランディング事業」が輝いた。カネパッケージ起業支援賞とのダブル受賞で、高橋さんは「研究室の研究として皆でやってきた案件で、大きな賞への応募は初めて。多くのサポートを得たもので感謝している」と笑顔をみせた。  関東経済産業局長賞は早稲田大学の葦苅晟矢さんによる「昆虫飼料活用による食糧循環型システムの確立」が受賞した。表彰式で各務茂夫審査委員長(東京大学教授)は「発表した10案件にバリエーションがあり、いずれもテーマに対する着眼点、特に今の社会の課題に対応する点がすばらしい。5年後、どんな事業になっているか楽しみだ」とエールを送った。 この他の受賞プランは次の通り(敬称略)。 【優秀賞】▽ゲノム価値創造データベースの開発(千葉大・田中顕)▽Rapid Pass? まだ並んでるの? 使おうランチの特急券(東大・石川聡彦) 【りそな銀行賞】がん患者のための副作用管理サービス(東大大学院・上村成章) 【日刊工業新聞社賞】コスプレ衣装レンタル”コスぷりーむ“(東大大学院・村上遥) 【奨励賞】 ▽心をキャラクター化するアプリ「Minder」(武蔵大・堀木遼)▽SOULi project(早大・水口渉) ▽”ワンダフル“な世の中を OneBox(早大・伊藤直樹) ▽新しいプログラミング学習のカタチ「Code.io」(神奈川大・金子晋也)  「第13回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)中部」の大賞に、岐阜大学の正木悠介さんの「広告機会の創造と認証機能を兼ね備えた新しい認証方式」が選ばれた。アルファベットの文字列による認証の代わりに、広告文を用いる。利用者は広告文を読み、設問に答えることで認証を可能にする。インターネットサイトの広告ブロックソフトが普及する中、新たな広告手段として提案できる。  特別賞中部経済産業局長賞を受賞した名古屋大学大学院の松下健さんの「Re:ACT大学講義に変化を起こすアプリケーション」は、参加型講義を可能にするツール。学生はアプリケーションソフトを通じて自身の理解度を送信したり質問したりする。教員は理解度の分布を把握できる。 その他の受賞テーマと受賞者は次の通り(敬称略)。 ◇特別賞中部経済連合会会長賞=ドローンを用いた遠隔景観体験サービス(名古屋大学大学院・本馬知世、斉東志一) ◇同名古屋商工会議所会頭賞=名古屋の学生版スマートニュースを創る(南山大学・西尾奎亮) ◇同日刊工業新聞社賞=飲食店に向けた農家直送ECサービス「こだわり」(名古屋大学・柘植千佳、長野県農業大学校・佐伯幸平、南山大学安藤弘貴) ◇同名古屋産業人クラブ会長賞=eスポーツの動画配信事業〜日本におけるeスポーツビジネスの普及(南山大学・堀祐輔) ◇奨励賞=写真つき外国語メニュー作成サービス(名古屋大学・孫智娜)、「今夜星を見に行こう」を可能にするアプリ“スターリーナイト”(中京大学・谷田美沙希) ◇努力賞=タビジ〜最適化とIoTによる外国人向けの旅行プラン作成サービス(名古屋大学大学院・呉偉、名古屋大学・八木貴大)、高齢者向けオレオレ詐欺防止機能付き通話サービス「オレオ」(名古屋大学・大江良) <次のページは、大阪、中国、四国、九州各大会の受賞者>  「第17回CVG大阪」のテクノロジー部門最優秀賞に選ばれたのは、大阪大学大学院・立山侑佐さんらの「遠心分離不要の血清分離アタッチメントTIMTY」。血清分離用の特殊なフィルターを内蔵した円筒状の製品で、電動式遠心分離機を導入しにくい被災地や紛争地域での血液検査が迅速に行える。  ビジネス部門最優秀賞に選ばれたのは、立命館大学・芳本大樹さんらの「ICTを利用した認知症予防教室『まなびや』」。認知症予防アプリの開発と、そのアプリなどを使って大学生が予防教室を開き、高齢者と学生の地域コミュニティーを創出する。 その他の受賞テーマと代表者は次の通り(敬称略)。 ▽テクノロジー部門優秀賞=遺伝カウンセリングのための家系図描画ツール(近畿大学・坂上博俊) ▽ビジネス部門優秀賞=国境を超えた求人・求職プラットフォーム「HRDatabank」(京都工芸繊維大学・丁世蛍) ▽特別賞近畿経済産業局長賞=次世代デバイスを導く超高品質・大口径GaN基板作製技術(大阪大学大学院・谷山雄紀) ▽特別賞北おおさか信用金庫賞=アンビエント社会における次世代型住宅セキュリティシステム「B―PEASE」の提案(大阪経済大学・小林和也) ▽特別賞日刊工業新聞社賞=WELCOME!〜京のおトクなおもてなし〜(京都大学・中西佑) ▽特別賞大阪産業人クラブ賞=YASAInnovation〜生産者にも消費者にも優しい農業革命〜(京都産業大学・西澤恭兵) ▽佳作=ONLINE学園(同志社大学・漣優起)、3Dモデルを利用した新しいレコメンドシステム(阪南大学・谷口浩暉)、Jmov〜三次元ビデオを用いた新感覚多視点動画視聴サービス〜(京都大学・中島慶人)、珪藻を用いた下水中のリン回収技術の事業化(関西学院大学大学院・福本浩兵) ▽奨励賞=GOFITURE(大阪大学・鄭軻)、青春をもう一度〜懐かしのあの場所で〜(関西学院大学・櫻井真琴)、お年寄りと若者をつなぐ老若共栄ぐらし(京都産業大学・悟道真実)、電子工作×おしゃれ女子「Souq by Miss Geek」(神戸大学・平山紗輝)  「第14回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)中国」のテクノロジー部門最優秀賞に選ばれたのは、山口大学の山中雄城さんの「救急搬送における救命率向上のためのICTを活用した新医療体制の提案」。既存の救急医療体制の枠組みを越えた医療機関と救急車両に導入する救急搬送支援アプリケーションを提案した。軽症患者を診療所で診る緊急医療体制の仕組みをつくることで、重症患者のみを大規模医療機関に運べるため、より多くの命の救助につながる。  ビジネス部門最優秀賞は、広島大学大学院の伊達文香さんの「途上国の手仕事とファッションショーで目指す女性の自立〜Based on I 自分の力で作る服と未来〜」。”ファッションを通じて、途上国の女性の自立のサポートを行う“をスローガンに起業した。途上国と販売先の日本との間に、服作りを通してコミュニケーションの機会を提供。途上国の女性に雇用と励み、日本の女性には新しいファッションを届けようというソーシャルビジネスを展開する。 その他の受賞テーマと代表者は次の通り(敬称略)。 ▽優秀賞=ゲーミフィケーションを用いたアプリ開発会社―将棋学習アプリの開発―(広島大学・北村拓也) ▽同=イマジンフィット〜マイ3Dモデルでどんな服でも試着〜(広島工業大学・尾坂甚伍) ▽同=自動精算かごシステム(岡山大学大学院・真鍋友希) ▽特別賞=人工授粉を行う飛行ロボット〔hachi bot〕(近畿大学・佐藤諒)▽同=おもてなしクーポンアプリ「iConnect」(広島市立大学大学院・花房祐貴) ▽奨励賞=次世代しあわせ医療福祉事業(米子文化服装専門学校・青木菜々恵)、良加工性かつ高強度な金属板を製造するための圧延ローラの開発(岡山大学大学院・冨田最)、Hospitable・com(ホスピタブル)〜病院予約で最高のおもてなしを〜(広島工業大学・岩井健吾)、女子大学生による子育て支援サービス(安田女子大学・小松彩香) ▽佳作=法人向けごみステーション(松江工業高等専門学校・出川泰平)、3Dプリンターで想いをカタチにする喜び(安田女子大学・柴田春菜)、参加・疑似体験型の観光案内サイトのビジネスモデル(広島国際大学・木崎直哉)、英単語塾(広島大学・河村大季)  「第13回キャンパスベンチャーグランプリ四国」のビジネス部門最優秀賞には、愛媛大学大学院の橋本憲太朗さんの「四国発!日本初!日本製マタニティボックスの販売」が選ばれた。欧州では赤ちゃんが誕生時に子供用品の詰め合わせを贈る習慣がある。そこで、日本製を集めた赤ちゃん用品や四国産だけでそろえた詰め合わせなどを販売、すでに実績も上げている。  テクノロジー部門最優秀賞は、弓削商船高等専門学校の瀬尾敦生さんらの「SmartAIS―小型船舶の安全な航海を支援するシステム―」。船舶自動識別装置(AIS)などの専用の機器に代わり、スマートフォンがあれば簡単に利用できる小型船舶を対象にした航海支援システムを提供する。 その他の受賞テーマと代表者は次の通り(敬称略) ◇優秀賞=車いす用電動昇降フットサポート「フットレイズ」(阿南工業高等専門学校・山下栞奈) ◇同=CanCanヨーグルト(新居浜工業高等専門学校・二宮由利絵) ◇特別賞=廃棄シリコンを用いた水素ガス製造装置(新居浜工業高等専門学校・大野彩香)、利用者参加型オンライン対話スペースMu―Talk(徳島大学大学院・板倉聡史) ◇佳作=いつどこエチケット(香川高等専門学校・岡田加奈子)、松山市北条地区の留学生のための地域交流型シェアハウス作り(聖カタリナ大学・朴基完)  キャンパスベンチャーグランプリの九州大会に当たる「第15回大学発ベンチャー・ビジネスプランコンテスト」でグランプリに選ばれたのは、大分県立芸術文化短期大学の尾崎勝也さんのプラン「Molded plywood spring clogs TALARIA」。履き心地を向上させた下駄(げた)を店舗とインターネットで限定販売する内容。造形の知識を生かし、ファッション性と機能性を持つデザインから考えた点などが評価された。審査員からは「新しい時代が来た」とも評された。  九州経済産業局長賞は、熊本大学の今福匡司さん、富永結菜さんによる「質量分析を駆使した革新的な酸化ストレス解析法を基盤とする受託事業」。内容は医療施設からの検体を測定する事業。血中たんぱく質の構造変化を質量分析で解析することによる病態の発症や進展を予測する技術を活用。この測定を健康診断の項目に組み込んで病気の予備軍を見抜く。 その他の受賞テーマと代表者は次の通り(敬称略)。 ◇九州経済連合会長賞=地方創生マーケティング事業(崇城大学・白石美嘉、古賀碧) ◇優秀賞=仮想株式会社TOWR(トール)(福岡女学院大学・青谷友香里ほか20人) ◇同=衣類用乾燥促進剤の開発(佐賀大学・中村駿介、近藤美咲、藤瀬清貴) ◇同=次世代のパーソナルモビリティー【Hero Leg】の開発、販売(崇城大学・鈴木智也、後藤みどり、佐渡山祐介、安部光法) ◇同=健康管理モデル―Health Sensing System―(北九州工業高等専門学校・木津祐太郎、穴井達)

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