モノづくりのブレークスルーは生き物にあり、バイオミメティックは盛り上がるか

中小企業の機動力に期待と、京都で産学が手を結ぶ

生物模倣製品の開発に向けて活発な意見が飛び交うKRPの研究会

 京都でバイオミメティック(生物模倣)をモノづくりに生かそうという試みが進んでいる。京都リサーチパーク(KRP、京都市下京区)とニイガタ(横浜市鶴見区)が連携し、地元中小企業を集め勉強会を開いてきた。3年目となる2016年度には実際に製品や技術の開発に乗り出したい考えだ。  「ニーズありき。シーズからだと自己満足になる」「出口戦略ばかり考えず、まず動きだしてしまうことも大事」。2月末の勉強会では参加者から活発な意見が飛び出した。座長を務めた立命館大学の小西聡理工学部教授バイオメディカルデバイス研究センター長は「アカデミック側にとって中小企業の技術が非常にありがたいことが多い」と期待を示した。  バイオミメティックとは生物の持つ機能の工業製品への応用。KRPでは14年秋から中小企業10社程度を集めた勉強会「生物に学ぶモノづくりイノベーション研究会」を開始した。同会を仕掛けたのは、大学など研究機関向けの装置を手がけるニイガタの渡辺社長。関西拠点として京都に営業所を開設したのを機に、地元で足場を築こうと乗り出した。  14年度は主に大学側の研究成果を中小企業に説明し、15年度は放熱や微細な流体の抵抗など企業側から要望が出された具体的なテーマを選んだ。  15年度の最終回では大阪大学の斎藤彰准教授が光輝材で企業と取り組んだ共同開発などの成功例や失敗例を体験を交えて説明。加えて東京から昭和テック(東京都葛飾区)の藤原法仁社長が参加し、バイオミメティックを取り入れた金型による表面加工について説明した。  KRPでは09年から「再生医療プラットフォーム」を設立し、中小企業の医療分野への進出を支援している。バイオミメティックはそれに続く柱との位置づけ。小西教授は「再生医療プラットフォームのように、京都企業の個々の強みを持ち寄ることが大事だ。中小企業は大企業よりも小回りが効き機動力がある」と話す。  生物学と工学の世界を結びつけるバイオミメティックでは、欧州を中心に国際標準化が進む。小西教授は「海外の方が盛り上がっている。欧州は異なるものをつなげるネットワークの意識が高いが日本は低い」と危機感をあらわにする。京都の中小企業から大きな流れを引き起こせるかどうかが問われる。 (文=京都・尾本憲由)

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