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東芝、債務超過のリスク後退も財務立て直しの道険し

医療機器事業の売却固まるも、主力の半導体メモリーに不安
 東芝が東芝メディカルシステムズの売却先候補をキヤノンに決定。不適切会計問題を機に債務超過のリスクが高まっていたが、売却益を得ることで回避できる見通しだ。ただ減損リスクや成長資金の不足など課題は残っている。半導体など中核事業の収益力強化が焦眉の急だ。

 売却する背景には、深刻な財務状態と資金不足の問題がある。2016年3月期末の自己資本比率は前期比14・5ポイント減の2・6%を予想し、債務超過寸前まで落ち込む。フリーキャッシュ・フローも同4203億円悪化のマイナス2800億円を想定し、成長資金を確保できない状況にあった。

綱渡りの状況続く


 売却により年度末の債務超過リスクは後退したが、17年3月期も財務健全性の課題が付きまとう。構造改革費用などで銀行借り入れが増え、自己資本比率を圧迫する恐れがある。また原発子会社の米ウエスチングハウス(WH)の減損リスクもくすぶっており、綱渡りの状況は続く。

 懸念もある。安定的に収益を生む子会社を手放したことで資金を創出する力が低下。主力の半導体メモリー事業の競争力を維持するには、数千億円の設備投資が必要であり、収益力の強化が急務だ。それには構造改革を早期に終わらせ、出血を止める必要がある。
 
日刊工業新聞2016年3月10日「深層断面」から抜粋
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
白物家電は二束三文で売れれば御の字。原発は早急にBWRは日立との統合を進めるべき。そりより気になるのはNANDメモリーの収益がしておりそれが長期化すること。

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