中国で液晶工場の投資過熱も、ガラス基板大手の日本電気硝子は慎重

松本社長は「投資はバランスを見ながら」

松本元春社長

 日本電気硝子は、2018年12月期に売上高3000億円達成を目指す中期経営計画をまとめた。課題は、これまで成長の柱だった液晶ディスプレー向け基板ガラスの収益力強化と、そのディスプレー依存からの脱却。新中計でどのような事業構造を目指すのか、松本元春社長に聞いた。  ―ディスプレー向けの市場は今後も成長が続くのでしょうか。  「足元は落ち込んでいるが、長い目で見れば成長軌道にある。面積で年率5%程度の成長は続くだろう。ただ液晶業界が大きく成長した5年前までとは異なり、現在はガラスの需給が緩んでいる。ガラスメーカーでは各社とも設備の集約を進めているのが現状だ」  ―ガラス基板の原板工場を中国福建省廈門(アモイ)市で立ち上げました。  「1月稼働で今年前半にフル稼働となる。これから液晶工場が増設されるのは中国。だから中国以外に投資する意味がない。一方で集約を進める国内の既存工場は生産性が向上し、ライン数は減ってもアウトプットはむしろ増えている。償却負担は軽くコスト競争力がある。廈門では2期計画もあるが、投資すれば償却負担がかさむ。投資はバランスを見ながら考える」  ―非ディスプレーでは樹脂強化用ガラスファイバーが好調です。  「これまでチョップドストランド(ファイバーを短く切断した形状)に集中し、この分野では3割のシェアを持つ。ただこれ以上伸ばしても4、5割のシェアが限界。だから、今後はロービングなど長い糸状の製品にも力を入れる。ユーザーにサンプル評価してもらい、受注が増えれば設備投資も考えていく。合併・買収(M&A)によってユーザーごと手に入れる方法もある。(15年12月期で550億円の)売上高を1000億円まで伸ばす」  ―自動車市場ではどのような分野に力を入れていますか。  「ガラスファイバーが大きいが、そのほかメーター周りに強化ガラスが使われたり、センサーに板ガラスが使われたりしている。ただ大量生産となるファイバー以外は、モデルごとに形状が異なるなど手間がかかる。従来とは違うサプライチェーンマネジメントを構築しないといけない」  ―売上高3000億円への手応えは。  「ガラスファイバー事業などを中心にノンディスプレーを成長させる。ディスプレー市場が崩れなければ、十分に達成できる」 【記者の目・供給過剰気味、投資に難しさ】  10・5世代工場の計画が相次ぐなど、中国では液晶への投資熱が依然として高い。大型工場になればなるほど、液晶工場に隣接してガラス基板を供給しなければならない。ただ基板ガラスは生産性の向上と相まって供給が過剰気味。投資回収も長期化しており、20%のシェアを持つ同社も難しい投資判断に迫られている。 (聞き手=京都・尾本憲由)

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