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病院のトイレでの卒倒、素早く検知・通報します!

慶大発のベンチャーがシステム開発
 慶応義塾大学発ベンチャーのイデアクエスト(東京都大田区)は、トイレでの卒倒などを早期に検知、通報するシステムの試作品を完成させた。赤外線の輝点画像から人の姿勢を把握し、危険な状態かどうかを人工知能(AI)で判断する。高齢者施設や病院の個室での異常発生を想定した「見守りシステム」としての利用を見込む。2016年中に実用化する計画だ。

 開発したシステムは赤外線半導体レーザーとファイバーグレーティング素子を使い、格子点に並べた約2000個の赤外線輝点をトイレの室内全体に投影する。さらに、これとは別に室内に設置した撮像素子で撮影する。人がいる時といない時の輝点位置を比較しながら、人の姿勢を3次元の画像で再構築する。

 安否の確認には、AI技術の一つで、脳の神経回路の仕組みをモデルにした情報システム「ニューラルネットワーク」を活用する。あらかじめ安全な姿勢と危険な姿勢を学習させておいたAIに撮影したデータを入力する。AIが対象者について危険な状態だと判断した場合、家族や施設管理者のパソコンやスマートフォンなどに通知する仕組みだ。

 病院や介護施設のトイレでは、高齢者や病人が意識を失って倒れたり、座ったまま眠ってしまうといった異常が発生しやすいが、個室内の出来事のため周囲の人は気づきにくい。

 また、個室内の様子をカメラで撮影することは、プライバシー侵害の問題もあるため難しい。写真ではなく輝点を再構築した画像であれば、対象者のプライバシー保護できると判断。AIが10分程度の学習で正しく判断できるアルゴリズムを開発し、レーザーや撮像素子などと組み合わせたシステムとして完成させた。
日刊工業新聞2016年2月29日大学面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
病院や高齢者施設は発見されやすい環境。1人暮らしの老人とかの自宅の遠隔監視の方がニーズはありそうだが。トイレからヴァイタルシグナルを取ったりするとかいろいろやり方はありそう。

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