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熱画像を表示できる初のガテン系スマホ、建機の米キャタピラーがMWCでお披露目

表面温度まで計測、建設・製造現場・災害用などに
熱画像を表示できる初のガテン系スマホ、建機の米キャタピラーがMWCでお披露目

熱画像を表示する「Cat S60」(FLIRのウェブサイトから)

 スペイン・バルセロナで25日まで開かれたモバイル機器の世界最大イベント「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」。左右のエッジに沿ってカーブした有機ELディスプレー(AMOLD)が際立つ「ギャラクシーS7/S7エッジ」(サムスン電子)といった最先端スマートフォンに混じって、異彩を放ったのが、大手建設機械メーカー、米キャタピラーブランドの新型スマホ「Cat S60」だ。内蔵カメラで熱画像(サーマルイメージ)を表示できる世界初のスマホという。

 キャタピラーのモバイル部門が、同製品のライセンス元でコンシューマー向け電機製品のデザイン・製造を行う英ブリット(Bullitt)グループ、およびサーマルカメラメーカーの米フリアーシステムズ(FLIR Systems)と協力して製品化した。

 フリアー製のサーマルカメラは、通常の13メガピクセルの背面カメラの上に搭載。完全な暗闇や煙で見えにくいような場合でもカメラ映像をもとに温度を色で表示し、最大30m離れた場所からでも、画面上で指定した複数ポイントの表面温度や平均温度を正確に計測することができる。静止画および動画での撮影も可能だ。

 建設や製造現場、電力・ガスなどエネルギー関係、災害現場、アウトドアスポーツなどでの利用を見込み、建築分野ではたとえば、窓やドア周囲の熱損失、水蒸気、断熱材、さらに電気製品の過熱具合のチェックなどに役立てられるという。

 ダイカストフレームをまとった本体もヘビーデューティー仕様。1.8mの高さからコンクリートの床に落としても壊れない。防塵性・防水性も高く、深さ5mの水に最大1時間漬けておいても大丈夫という。ディスプレーのカバーガラスには衝撃や傷に強い「ゴリラグラス4」を採用した。さらに手袋をつけていても、濡れた指でも操作できるタッチスクリーンや、太陽光の下でも見やすい高輝度の4.7インチディスプレーを備える。

 OSは最新のアンドロイドOS「マシュマロ」。8コアのクアルコム製「スナップドラゴン617」MPUに、3ギガバイト(GB)のRAM、32GBメモリーを内蔵。バッテリー容量は3,800ミリアンペア時(mAh)あり、iPhone 6s Plusの2,750mAh、サムスンのS7エッジの3,600mAhより容量が大きい。

 年末に発売予定。価格は米国が599ドル、欧州では649ユーロ。専門店またはキャタピラーによる直販で販売する。

【FLIRによる動画(英語)での製品紹介】
ニュースイッチオリジナル
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
火事や災害現場でどこが温度が高くて危ないかといった使い方はできそうだが、測れるのが表面温度だけなので、体温をもとに、これで瓦礫の下にいる行方不明者を発見するのは難しいかもしれない。リリースには書いていないが、もしかして暗闇でも人間の存在を検知できてしまうのだろうか。

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