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来年度の建機出荷見通し、2年連続2兆円割れ。頼みも北米も競争激しく

「15年ほどは落ち込まないだろうが、16年は回復しないだろう」
 日本建設機械工業会(建機工)は25日、都内で会見し、2016年度の建設機械国内外出荷金額(補給部品を除く本体)が前年度比2%減の1兆9568億円となり、2年連続で2兆円を下回る見通しだと発表した。15年8月の前回予測から1989億円引き下げた。同7%減の1兆9932億円と見込む15年度に続き、2年連続減となる。北米など先進国市場は堅調だが、中国など新興国市場の落ち込みが続く。

 16年度の輸出は2年連続減となる同1%減の1兆1211億円で、前回予測から1810億円引き下げた。藤岡純建機工会長(コベルコ建機社長)は15年に極度の販売不振だった中国市場について、「15年ほどは落ち込まないだろうが、16年は回復しないだろう」と予測。住宅着工が好調な北米など先進国市場については、「それほど伸びは見込めず、競争が激化する厳しい市場になる」と見通した。

 国内は3年連続減となる同3%減の8357億円で、前回予測から179億円引き下げた。都心再開発や震災復興の建設投資は継続するが、ミニショベルなど小型機種の排ガス規制駆け込み需要の反動減が影響する。

 15年度は前回予測を1248億円下回ると見込む。輸出が1兆1319億円と同11%減となるのが響く。仕向け先別出荷金額で、中国は14年度を上回る見通しだが、藤岡会長は「輸出量がそもそも小さく、全体感では縮小している」との認識を示した。17年の出荷金額は予想しなかったが、会員69社への調査では、16、17年の国内と海外各市場の需要予測を実施した。

 中国市場は16年に比べ17年は需要減が弱まると見る企業が多かった。中国を除くアジア市場も同じ傾向だった。北米市場については、16年より増加または横ばいとの見方が多かった。藤岡会長は「中国や東南アジア市場は時期は読みづらいが、底を打って回復するのでは」とした上で、「会員各社は16年は厳しいが、17年は回復すると予想している」と説明した。
日刊工業新聞2016年2月26日機械面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
トレンドについてはだいたいこの通りだろう。それでも少し楽観的か。個別企業の戦略の巧拙で一段と収益格差が出てくるだろう。近々、コマツの大橋社長にゆっくり話を伺ってみるか。

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