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サンテック新社長のガオさん「24円でもまだ海外より買い取り価格は高い」

太陽光パネルの出荷減少は想定内!?ビジネスの新潮流は
 太陽光発電協会(長栄周作代表理事=パナソニック会長)が23日発表した2015年10―12月の太陽光パネルの国内出荷量は、前年同期比21%減の176万キロワットだった。マイナスは4四半期連続。大規模太陽光発電所(メガソーラー)など産業用(非住宅)の落ち込みが響き、2四半期連続で20%超のマイナスとなった。固定価格買い取り制度が呼び水となった太陽光ブームはピークアウトした。

 内訳は住宅用が同12%減の40万キロワット、産業用が同24%減の136万キロワット。ハウスメーカーがスマートハウス(次世代環境住宅)を訴求しており、住宅用は堅調な需要が見込まれていたが「購入時の補助金の打ち切りや、電力会社が電力の買い取りを一時中断できる出力抑制の適用が響いた」(太陽電池メーカー)。

 産業用では発電規模が500キロワット以上の大型発電所向けが同32%減と急落。15年7―9月までは堅調だったが、太陽光ブームをけん引してきたメガソーラーの建設が一巡した。国内出荷全体の輸入品比率は60%でほぼ変化なく推移した。

 一方で、海外向け出荷量は同40%増の31万キロワットに伸長。特に北米向けが同16倍に急増した。京セラが15年度の北米向け出荷量を前年度比2倍に拡大を見込むなど、国内メーカーが海外市場に軸足を移している。

再生エネ買い取り価格案、経産相「関係省庁と協議」


 林幹雄経済産業相は23日の閣議後者会見で、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の2016年度買い取り価格案の取りまとめを受け「(調達価格等算定委員会の)意見を尊重して関係省庁と協議する」と述べた。

 22日開催の同委員会で出力10キロワット以上の企業向け太陽光は、太陽光パネルの価格下落などを反映、前年度から3円低い1キロワット時当たり24円などと示していた。今後実施する意見公募なども踏まえて林経産相が15年度内に正式決定する。

 同委員会ではほかに、出力10キロワット未満の家庭向け太陽光が前年度比2円低下の同31―33円とする価格案をまとめた。どちらも4年連続の引き下げとなる。

 一方で、風力、地熱、中小水力は15年度から買い取り価格を据え置いた。

 再生エネを巡っては17年度に改正FIT法の施行を控えており、今回が現行法による最後の価格算定となる。17年度以降は買い取りに入札制度を導入して、低コスト化を促す。

ファシリテーター・永里善彦氏の見方


 2012年、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)を開始して、日本は再生エネを普及させることにした。これはドイツの先例に倣ったもの。しかし、FIT導入によるドイツでの太陽光パネルの普及は、中国の安い生産者の雇用に貢献し、ドイツの再生可能エネルギー産業のシンボルであったQセルズを倒産させた。

 マッキンゼーの調査によると、ドイツ国内の世帯当たりエネルギー価格はヨーロッパ平均よりも48%高くなっているという。さすがに2014年、ドイツは固定価格買い取り制度の運用に関して大幅な見直しを行った。

 今回、日本が先例としたドイツの問題点を学習し、経産省がFITに関して国民負担の軽減の観点から環境省等と検討しているのは当然のことと言えよう。
2016年2月24日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
24日、都内で会見したサンテックパワージャパン新社長のガオさんは「太陽光の買い取り価格(発電事業者が電力会社に売る価格)の引き下げは想定済み。24円/kwhでも海外よりも高い」と話していました。政府は当初から3年は高く設定するとアナウンスしていました。太陽光パネルの出荷減少も想定内のことでしょう。問題は政府から認定を受けながらも、まだ稼働していない発電所が多いこと。稼働済みの発電所の3倍もある未稼案件がしっかりと建設されるなら、まだまだ太陽光パネルは売れます。もし縮小していくのなら、外資含めて乱立した太陽光パネルメーカーはどうなるでしょうか?来週、都内で太陽光の展示会があります。いつも満杯の出展ですが、今年は変化があるかもしれません。

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