再生可能エネルギーの導入が進んでも、CO2は増加する?~ドイツからの教訓

電力自由化とFITは相容れないのか。安価な石炭火力が増える理由

メガソーラー(海外)

 将来のエネルギーミックス(電源構成)、20年以降の温室効果ガス削減目標の議論が佳境を迎えているので、昨年の記事ですが掲載します。  再生可能エネルギーの導入量が増えたのに二酸化炭素(CO2)排出量は増加した―。ドイツの固定価格買い取り制度(FIT)で生じた誤算だ。電力料金も跳ね上がり、産業界からは国際競争力を失うと不満が続出。ついに独政府はFITを大幅に縮小した。日本でも固定価格買い取り制度を見直す議論が始まった。独に追従するだけではない議論が求められる。  独の2013年末時点での太陽光と風力の発電量は全体の14%を占めるまでに拡大(日本は1―2%)。しかしCO2排出量は増加傾向にある。景気回復の影響もあると思われるが、13年の排出量は前年比2%増えた。エネルギー政策に詳しい常葉大学の山本隆三教授は「電力自由化とFITが相いれないため」とその理由を説明する。  市場原理に従えば電力会社が調達する電力は安価な方が良い。しかしFITでは再生エネは価格にかかわらず電力会社が購入するルール。したがって独の電力会社は再生エネの購入で増えたコスト負担を埋め合わせようと安価な石炭火力の発電を増やした。その石炭は燃焼時にCO2を多く排出するため、温暖化対策に逆行する結果となった。  石炭火力への依存が増すと火力発電の中でCO2排出の少ないガス発電所の稼働率が低下。本来なら予備力として必要な発電所まで稼働率の低さを理由に閉鎖が続き、電力の供給不足が懸念されるまでになった。原発事故をきっかけに電力不足が起きた日本と違い、FITと自由化が供給不安を招いた。  独の一般家庭の電力料金は1キロワット時当たり40円前後と日本の1・5倍。再生エネの導入を支えるために電力料金と一緒に請求される賦課金(FIT負担金)が一般家庭で年3万円近くになっている。賦課金が免除される企業もあったが、欧州委員会から不平等との指摘を受けてFITを見直すことにした。  独が8月に施行した「改正再生可能エネルギー法」は新規大規模発電事業者に電力を固定価格ではなく、市場価格で売却することを義務づけた。固定価格で売電できないと投資回収が見通しづらくなる発電事業者は投資意欲が鈍り、再生エネの導入にブレーキがかかる。  山本教授は「日本は買い取り制度を即廃止すべきだ」と主張する。独の二の舞いを避けるためだ。また「買い取り制度があると、本気で発電コストを下げようとしない」とも指摘。固定価格で売却できると収入が保証されるためメーカーや発電事業者のコストダウン意識が薄れやすい。  これらの課題を踏まえ「系統安定化技術が重要。日本はこちらに開発コストをかけるべきだ」と提案する。再生エネの電力を蓄電池に充電したり、水素や熱として貯蔵したりする方法が世界各地で検討されている。まさにスマートグリッド(次世代電力網)の出番だ。  「太陽光パネルは新興国のメーカーでも供給できるが、安定化は新興国にはない技術」というのもコストをかけるべき理由だ。買い取り制度の見直しはスマートグリッドが新産業として開花するチャンスかもしれない。

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