「地方空港」から見た中国経済。静岡と茨城の差は何だ!

文=滝口亮(JCナレッジマネジメント代表取締役、日立市日中友好協会理事)

春秋空港の上海線が好調の茨城空港

 日本の「地方」からも中国を眺めてみれば、中国経済をより深く読み解けるかもしれない。今回のテーマは、訪日の窓口である「地方空港」。地方空港といえば、赤字体質から脱却できず、常に存続問題に揺れているイメージが強い。そんな中、中国人観光客が”救世主“になっている例が増えている。静岡空港と茨城空港の例に注目したい。  2015年は、静岡空港の利用率が中国人観光客によって急上昇していることが大きなニュースになった。これまで静岡県は「東京―富士山―京都・奈良―大阪」といった”ゴールデンルート“の真ん中に位置していながら、県内観光につながっていないことが悩みの種だった。  そこで静岡県は中国人観光客の増加に力を入れる。旅行会社に対して、静岡空港を使って県内で1泊した場合に補助金を出すことにしたのだ。この施策により静岡空港を出入り口とした訪日ツアーが急増。合わせて中国路線も天津、南京、杭州、武漢、西安、長沙など、一気に14路線に拡大した。  今や沿海部から内陸部までほとんどの地域を網羅するまでになっている。そして、外国人宿泊者数の伸び率が日本一に。長年の悲願がようやく成就したのだ。  この反対に、茨城空港は中国人観光客を県内観光にどうつなげていくか、岐路に立っている。2010年に開港した茨城空港は乗降客数が順調に伸びてきたが、国内線は経営再建中のスカイマーク1社に頼っている。  一方で、上海線は平均搭乗率約9割と絶好調。新たに深セン線、杭州線も開通し、中国人観光客の恩恵を大きく受けている。しかし、航空券を持っていれば500円で東京行きの直行バスに乗れるため、県内への滞在はわずか2割程度に過ぎない。有名な観光地である偕楽園や弘道館を訪れることなく、茨城県を素通りしていく。  今後は、やはり中国人観光客にも興味を持ってもらえるような観光ルートの開発が必要ではないか。例えば、水戸黄門(徳川光圀)の儒学の師は、明朝末期に亡命してきた朱舜水という中国人だった。県内にはゆかりの地も多いが、地元民でも知らない人は多い。そのため、地元の魅力を掘り起こす契機にもなる。こういった試みは、どの地域にも有効だ。  5億1700万円(平成25年度)から4億9700万円まで(26年度)まで赤字額は減少しているものの、成功に沸く静岡空港でさえ、今なおこれほどの赤字を出している。インバウンドの取り組みが一時のブームで終わらないよう、次の一手こそ大事といえる。 ※日刊工業新聞では「地方から見た中国経済」を連載中

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