家庭用蓄電池、国の補助金打ち切り。本格普及へ「コストの壁」を破れるか

 蓄電池が本格普及を前に正念場を迎えた。高価な家庭用蓄電池の設置負担を軽減していた国の補助金が2016年度は打ち切られるためだ。再生可能エネルギーの大量導入を支える電力系統向け大型蓄電池の設置も増えてきたが、普及にはコストの壁がある。コストダウンによって補助金依存からの脱却を目指すのはもちろんだが、再生エネの活用を増やせるなど、蓄電池の利用価値を高める開発が求められる。  「補助金が始まった12年から毎年、蓄電池の販売は右肩上がりだった。補助金が追い風になった」。エリーパワー(東京都品川区)の小田佳取締役はこう評価する。  11年の東日本大震災を経験し、非常用電源の確保や電力不足の解消を狙い、経済産業省が補助金を導入した。同社はいち早く家庭用蓄電池の販売を開始。筆頭株主の大和ハウス工業の新築住宅を中心に蓄電池を導入し、1万台以上の納入実績がある。  オリックスとNEC、エプコの3社が出資するONEエネルギー、京セラ、シャープも販売を伸ばし、パナソニック、東芝、ソニーも参入して市場が立ち上がった。  一方で補助金頼みも浮き彫りになった。毎年130億円程度の補助金が数カ月で底をつくたびに需要がストップしていた。充電容量によるが、蓄電池の価格は太陽光発電システムと同等の200万円。夜間の安い電力を充電して日中に使って電気代を節約しても、投資回収に10年以上かかる。20社ほどが参入したが、10万台に満たない普及台数と思われる。  補助金打ち切りに今のところ蓄電池メーカーは冷静だ。16年度からエネルギー消費を正味ゼロにするゼロエネルギーハウス(ZEH)への補助金が手厚くなるからだ。経産省は概算要求でZEHの補助金に190億円を計上した。蓄電池もZEHの補助対象に含まれる可能性があり、「ZEH向けとして補助金が継続されるイメージ」(小田取締役)と捉えている。  とはいえ、補助金に依存しない“独り立ち”を目指す必要がある。実際に転換の機会が19年に訪れようとしている。家庭用太陽光発電の買い取り制度で、自宅で使いきれなかった太陽光の余剰電力を電力会社に売れる期間は10年。制度は09年にスタートしており、19年以降に余剰電力の買い取りが終了する家庭が出てくる。  この時、余剰電力を売らずに自宅で活用したい家庭が出てくると想定される。日中に発生する余剰電力を充電して夜間に使うために蓄電池が必要となる。  太陽光の電力を完全自家消費すると、電力会社から購入する電力が減るので蓄電池の経済的メリットが大きくなる。“ポスト余剰買い取り”の機会を逃すと、蓄電池の普及は遠のく。  140カ国が加盟する国際再生可能エネルギー機関に興味深いリポートが掲載された。ドイツでは太陽光と蓄電池の合計コストが、系統の電力コストと同じになる「バッテリーパリティー」に16年に到達するという。  日中、太陽光発電の電力を蓄電池に充電して夜間に使う生活を続けると、電力会社から電力を買い続けるよりもお得になる。電気代が高いドイツ特有の事情はあるが、バッテリーパリティーは蓄電池普及への環境が整ったことを意味する。  日本でバッテリーパリティー到達は見通せておらず、蓄電池メーカーにコスト削減が求められている。一方で太陽光と蓄電池を一体のシステムで考えるとコスト削減余地があるはずだ。  これまで太陽光、蓄電池は別々に開発されてきたため、1台当たりの利幅を増やそうと大容量化しがちでコストアップになっていた。日本で蓄電池を本格普及させるために、システム化による最適設計が求められるはずだ。京セラソーラーエネルギー事業本部の戸成秀道責任者は「自家消費が促され、太陽光と蓄電池が一体になる」と予想する。 <全文は日刊工業新聞電子版に会員登録して頂くとお読みになれます>

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