拡大する動産担保融資、残高が2兆円に迫る

商用車に近江牛、破綻医療機関の在庫も

ABL市場規模

 2014年度に実行されたABL(動産・債権担保融資)件数が、13年度比33・0%増の1万1385件となり、初めて1万件を突破したことが経済産業省の調査から明らかになった。融資残高ベースでも同30・7%増の1兆9341億円まで積み上がっている。太陽光発電設備や売電収入を担保対象とする動きは続いており、「ABL市場は着実に広がっている」(経済産業省産業資金課)と分析している。  融資実行額は8965億円で、13年度の9327億円に比べ、わずかながら減少に転じたが、家電を担保とした巨額案件という特殊要因がなくなったことによる。  14年度の1件当たりの融資実行額は7900万円だった。太陽光発電設備を担保とする融資実行額は13年度比でほぼ倍にあたる3666億円に急増した。  今回の調査では、担保対象としての「債権」についても初めて詳細に分析した。「売電債権」の融資件数と融資額は3511件、3531億円と最も多く、「売掛債権」が1239件、1615億円と続いた。こうしたことから売掛債権について「一定の市場規模があることが確認できた」(同)とみている。  売掛債権をめぐっては、これを活用した資金調達を拡充する観点から、債権に関する規定を見直す民法改正案が閣議決定されている。ただ、今通常国会での成立は厳しい状況となっている。 日刊工業新聞2015年11月27日  滋賀銀行は、滋賀県畜産振興協会と業務提携し、近江牛を担保に融資するABL(動産・債権担保融資)の取り扱いを始めた。同協会と協力して担保となった牛の畜産をアドバイス、疾病などのリスク軽減で健全経営を支援する仕組み。 日刊工業新聞2015年7月2日  経済産業省は、医療機関が破綻して医薬品が残り、債権者である金融機関が譲渡担保権を実行した時、担保物である医薬品を医療機関が販売し、代金を金融機関が受け取る行為は、医薬品医療機器法に抵触しないことを明確にした。  「業」として行うものではないため、医薬品医療機器法第24条に該当しないとした。事業者が法令上の扱いについて不明確な点を照会する、産業競争力強化法のグレーゾーン解消制度に基づく回答。今回の回答により医療機関は、在庫などの資産を担保とするABL(動産・債権担保融資)を活用し、資金を調達しやすくなる。 日刊工業新聞2016年1月21日  東京スター銀行は動産・債権担保融資(ABL)を積極化する。所有する事業用トラックなどを担保にできる「商用車担保ローン」の2016年3月末の実行累積件数は、年度計画の150件を超えそうだ。小口の売掛金をまとめて担保にできる「売掛債権担保ローン」もグループ全体での顧客数を15年12月までに14年3月に比べて約6割伸ばした。小回りが利く地域金融機関の特徴を生かして、中小企業の資金需要を取り込む。  「商用車担保ローン」の貸出金額は、14年度までは500万―1000万円が多かった。15年度は従来よりも小口の融資も積極的に取り扱いを始めたことで、期初計画の120件を150件に引き上げたが、12月末で144件まで伸びている。中小零細の運送業や建設業では、人手確保のための人件費高騰などで資金需要が高まっている。「東京五輪までは現在の引き合いが続くのでは」(同行担当者)。  売掛債権担保ローンも好調で「来年度以降も同様の伸びが期待できる」(同)。同行や子会社の東京スター・ビジネス・ファイナンスが手がける売掛債権担保ローンは、15社以上の継続的な小口多数の売掛債権を担保として評価し、運転資金を提供する。卸売を中心に製造、運送などの事業者の利用が多い。  ABLは不動産などの担保がない企業でも融資を受けやすく、ベンチャーや中小企業は資金調達を多様化できる。金融機関も新たな融資先の開拓につなげられる。

続きを読む

特集