紙おむつが“都市森林”になる!?ユニ・チャームがリサイクル技術

新品のパルプを上回る品質まで再生。経済原理からもメリットあり

使用済み紙おむつから回収、再生したパルプ

 ユニ・チャームは使用済み紙おむつのパルプのリサイクル技術を確立した。新品のパルプを上回る品質まで再生するため、紙おむつの原料に繰り返し使える。  Corporate Social Responsibility本部の宮沢清本部長代理は、「一度しか使われない商品を作ったままでいいのか、という使命感が開発のきっかけだった」と振り返る。  日本で大人用紙おむつは年70億枚近く生産され、使われた後はほとんどが焼却処分される。高齢者社会に突入し、紙おむつの廃棄量は増える一方。都市部では家庭ゴミの10%近くが紙おむつという自治体もある。高齢者が多かったり、病院・福祉施設が集中したりする都市ではその割合は高い。他のゴミは減容化できるが、紙おむつは減らしづらく、処分のための社会的負担も増す。  ユニ・チャームのリサイクルは使用済み紙おむつを分解し、回収したパルプをオゾン発生装置に投入して殺菌する。北里大学に検証してもらったところ、おむつに付着していた菌がゼロまで完全消滅することが分かった。新品以上の上質パルプになるため、再使用しても衛生面の心配がない。  紙おむつから紙おむつへのパルプの循環が実現すると、森林資源の使用が減りパルプ製造に投入されるエネルギーも節約できる。こうした環境価値を定量化しようと、ライフサイクルアセスメント(LCA)を実施した。  すると、原料を含めた製造から廃棄・リサイクルまでの一生分の二酸化炭素(CO2)が30%削減できると判明した。パルプ製造のエネルギー削減と、パルプ以外のフィルムを固形燃料化して化石資源代替エネルギーにする効果が大きかった。  経済的価値も期待できる。使用済み紙おむつが資源になるので、病院は処理を委託する費用を圧縮できる。リサイクルをする業者は、再生パルプをユニ・チャームに販売できる。「社会全体の価値作りになるはずだ」(宮沢本部長代理)と、その意義を強調する。  同社はリサイクルの実現に向けて自治体などと検討を開始。「当社1社ではできない。自治体などと回収システムを立ち上げ、実現した姿を見てもらって広げていきたい」と意気込む。さらに「希少鉱物を含んだ廃電子機器が”都市鉱山“と呼ばれるように、紙おむつも”都市森林“になる」と力を込める。使用済み紙おむつのパルプリサイクルの環境価値をLCAで定量化した成果は、2015年度LCA日本フォーラム会長賞を受賞した。 (文=松木喬)

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