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社長直轄のマーケ組織をつくったロームの狙い

IoT、新しい市場は早いもの勝ち
 ロームは社長直轄のマーケティング戦略部門を新設した。LSIとディスクリートそれぞれの事業部門に分かれていた戦略部を切り出し応用分野ごとに再編。マーケティングや技術提案などの業務を効率化するとともに、モノのインターネット(IoT)など従来にない市場ニーズを迅速にとらえるのが狙い。

 社長直轄の新組織は「車載戦略部」「産機・IoT戦略部」「民生・スマートデバイス戦略部」「リファレンスビジネス戦略部」。全体で50人以上の規模となる。これまでLSI商品開発本部とディスクリート・モジュール生産本部それぞれにマーケティング部門を置いていたが、最近はLSIとディスクリートを組み合わせたソリューション提案などが求められ、商品分野ごとに個別で対応するには限界が生じていた。

 それぞれの戦略部には、マーケティング部隊とフィールドアプリケーションエンジニア(FAE)を配置。顧客ニーズをいち早くくみ取り、子会社のラピスセミコンダクタ(横浜市港北区)を含め、各事業部門の商品開発などへ反映させる。

 同社はディスクリートや電子部品、パワー半導体、マイコン、アナログIC、センサーなど幅広い商品群を持ち、商品ごとにマーケティング戦略を進めるのは非効率となっていた。「IoTでは、当社が持っているリソースをどのように組み合わせビジネスチャンスを作ることができるかで勝負が決まる」(澤村諭社長)とし、新分野の開拓も加速する。
日刊工業新聞2016年2月16日
尾本憲由
尾本憲由 Omoto Noriyoshi 大阪支社編集局経済部
半導体の中でもねじ釘と例えられてきたディスクリートでさえソリューションとしての売り方が必要となってきた。半導体メーカーにとっては、これまで以上に顧客の面倒を見なければならず手間がかかるが、それだけ欠かせない存在になるチャンスとも言える。

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