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トヨタ、国内生産停止。6日間の影響は7万―8万台か

トヨタ、国内生産停止。6日間の影響は7万―8万台か

トヨタの工場停止が国内モノづくりに与える影響は大きい

 トヨタ自動車は1日、8―13日の6日間、国内すべての車両組み立てラインの稼働を停止すると発表した。1月8日にグループの愛知製鋼の工場で発生した爆発事故の影響で、特殊鋼部品の供給が不足するため。ここまで大規模な生産停止は東日本大震災以来となる。6日間の停止による影響は公表していないが7万―8万台とみられる。15日に稼働再開を予定している。

 事故が起きた圧延ラインは自動車や建機、軸受などに使う特殊鋼鋼材の棒鋼(丸鋼)を月約7万トン生産していた。復旧までは在庫や代替ラインでの生産、神戸製鋼所や大同特殊鋼への生産委託で供給できる公算だった。しかし、この応急処置でも納期的に厳しい部品が発生した。

 トヨタの工場停止に伴い、車両組み立てに直結する製品を供給するメーカーも生産を一部停止する。トヨタ紡織はシート、ドアトリム、天井などトヨタの車両組み立てラインと連動して生産する工場を停止する。大半の国内工場が対象となる見通しだ。

 デンソーアイシン精機など生産品目が幅広く、基幹部品を担うメーカーも自社工場の状況など情報収集を急ぐ。部品大手首脳は「トヨタ向け以外の部品の生産ができないか調べる」と工場稼働維持に向けた対策を練る。

 東日本大震災では国内全工場を10日間停止、世界生産の正常化は8月までかかるなど長引いた。同年10月に発生したタイ洪水でも仕入れ先からの部品調達が滞り、タイ3工場を停止。同年11月21日から稼働したが、近隣諸国や日本、米国など9カ国でも減産を余儀なくされたことがある。
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日刊工業新聞2016年2月2日1/3面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ある意味でトヨタの「系列力」の凄さを改めてみた感じもする。決断も早かったし、6日間なら業績への影響も軽微ではないか。ただ特殊部品の場合は「見える化」しやすいが、トヨタですらすべてのサプライチェーンを把握できているわけではない。モジュール化が進む中で、「超見える化」をどこまで突き詰めるのか。それとも違う方法があるのか。

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