少し話題になってるソニー不動産のコアテクノロジー

深層学習で収集情報に精度。「リアルエステートテック」で国内トップ目指す

「不動産価格推定エンジン」は膨大なデータセットを使い、常に精度向上に努めている。どんなデータをどう使うかにノウハウがある

 「自分の家は、本当はいくらなのか」。ソニー不動産の「不動産価格推定エンジン」は多種多様な関連情報をもとに、独自の算法(アルゴリズム)に基づいて膨大なデータを解析し、不動産の成約価格を高精度で推定する。ソニーが誇る機械学習技術を不動産業界に適用した。不動産とITを融合した「リアルエステートテック」で国内ナンバーワンを目指すソニー不動産の最大の武器だ。  不動産価格推定エンジンは物件の築年数や広さなどの情報を入力すると成約価格を出力してくれる。ソニーのディープラーニング(深層学習)技術を核にソニーとソニー不動産が新たに共同で開発した。  ディープラーニング技術とは人間の脳の構造「多階層ニューラルネットワーク」を模した計算モデル。人間の脳が試行錯誤しながら学習する仕組みをソフトウエア的に再現している。例えば、情報の入力・出力を満遍なく繰り返すうちに、正解に至る神経細胞(ニューロン)の道筋(ネットワーク)がだんだん「太く」なっていき、良い結果を効率的に得られるようになるという仕組みである。  ニューラルネットワークは階層を増やすと計算回数も増えるため、コンピューターの進化が追いつかず注目されない時期もあったが、近年ではコンピューターの高性能化や、画像処理用チップを用いた並列化計算の高速化により多階層ニューラルネットワークの演算が可能となり、再度脚光を浴びている。  ソニーは2000年以前から機械学習の研究開発に取り組んできており、これまでにもペットロボット「AIBO」やオンラインストアの推薦(レコメンド)などで実用化されている。その機械学習技術の一つであるディープラーニングを不動産業界に適用した。  不動産価格推定エンジンはソニー不動産の代理人(エージェント)が使っているほかソニー不動産とヤフーが共同運営している不動産売買プラットフォーム「おうちダイレクト」上でも利用できる。エンジンの開発責任者の角田智弘ソニー不動産執行役員は「最大のポータルサイトと我々の技術と組み合わせることで『FSBO』の世界をぐっと引き寄せられる」と話す。  FSBO(フォー・セール・バイ・オーナー)とは不動産の個人間取引のこと。米国では中古不動産取引の2割程度をFSBOが占めるという。日本に比べて米国の中古不動産流通の市場は圧倒的に大きく「リアルエステートテック」の関連ビジネスも流行中だ。「不動産の流通が活性化すれば日本の経済全体にも良い影響を与える」(角田執行役員)。米国に比べて日本は同じ住宅に長く住み続けることが多いが、「気軽に住み替えられるようになれば生活の幅も広がる」(同)。  不動産価格推定エンジンが現在対象としているのは1都3県の中古マンション。今後は対象エリアを広げるとともに一戸建て住宅の価格推定を可能にすることも検討している。 (文=斎藤正人)

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