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漫画を生かす「トーン」シェア8割!精密極めるモノづくり―デリーター

漫画を生かす「トーン」シェア8割!精密極めるモノづくり―デリーター

スクリーントーンをもつ金子社長。トーンの種類は700を超える

 デリーター(川崎市高津区、金子一郎社長、044・850・5741)は、漫画の執筆に使用する画材を手がける専門メーカーだ。特に建物の背景や洋服柄など、立体感を出す目的で原稿に貼り付ける模様付き粘着フィルム「トーン」を製造している。

 特徴は精密性。原稿段階ではB4サイズの用紙に描き込むが、単行本になると縮小印刷するため、雑なトーンだと真っ黒になる。漫画はすべてを白と黒で表現するため、線ではなく真円の黒点の密度で色を表現している。

 もう一つは原稿に貼るためののり。同社で独自配合し、原稿の上で付きにくく、印刷時に剥がれにくい微妙な粘着力を実現した。トーンの種類は729種類。2014年度の「川崎ものづくりブランド」にも認定された。
 
 金子社長は「規模は小さいが事業をやめたら、日本・海外の漫画家が困ってしまう。今後もよいものを作っていきたい」と熱がこもる。

【エール/川崎信用金庫・鈴木雄介久地支店長】
 クールジャパンの最先端を進んでいる。シートが主体の画材メーカーというニッチな事業だが、トーンのシェアは7―8割にのぼる。現在は、世界74カ国に商品を展開し海外で日本文化の裾野を広げている。当行とは30年以上にわたる取引があり、重要な顧客だ。
日刊工業新聞2016年2月1日 中小企業・地域経済面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
一般の方でも本格的な漫画を描くような、漫画文化のすそ野が広がってきています。デジタル移行も増えているでしょうが、味のある漫画を支える技術をこれからも続けていってほしいです。

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