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ロボット社会を目指す安川電機、次期社長の素顔は?

小笠原専務執行役員「断る理由が見当たらない。こんなチャンスはない」
ロボット社会を目指す安川電機、次期社長の素顔は?

(左から)津田会長兼社長と小笠原次期社長

 安川電機は20日、小笠原浩専務執行役員が3月21日付で社長に昇格すると発表した。津田純嗣会長兼社長は代表権のある会長に就く。同日開いた会見で、小笠原氏は「ロボットと環境・エネルギーをキーワードに会社を引っ張る。次の新しい製品も生み出していきたい」と意気込んだ。

 次期社長に内定した小笠原氏は、技術開発本部長として製造面で津田氏を支えた。20日の会見でも津田氏は「技術に明るく、能力、経験と経営者に必要なすべてを備えている」と、小笠原氏に関して太鼓判を押した。地元経済界からも次期社長有力候補との声が聞こえていた。

 会長に専念する津田氏は、2010年の社長就任以来、グローバル化を積極的に進めた。13年には中国江蘇省常州市に海外初の産業用ロボット工場を建設。また、15年の創立100周年には本社事業所を大幅再編、ロボット村を開設するなどロボットメーカーの地位を不動にした。

 100周年を終え、「モノのインターネット(IoT)など社会情勢の変化に対応できる人材」(津田氏)とし、交代を決めた。
【略歴】小笠原浩氏 79年(昭54)九州工大情報工学科卒、同年安川電機製作所(現安川電機)入社。06年取締役、13年取締役常務執行役員、15年代表取締役専務執行役員。愛媛県出身、60歳。


「日本は欧米と製造業の立ち位置が異なる」


 津田純嗣会長兼社長から次期社長就任を要請されたのが2015年末。即答で受諾した。予期していたのかとの問いに「(津田氏の)長期政権をサポートしていくのだと思っていたが、断る理由が見当たらない。こんなチャンスはない」と笑った。

 モノのインターネット(IoT)やインダストリー4・0など、製造業を取り巻く環境は激変している。この分野で業界屈指の知見を持つと言われる。「日本は欧米と製造業の立ち位置が異なる」と説く。中小企業まで裾野が広い日本には、独自の情報技術力が必要と考えている。

 産業用ロボット最大手だが、「ロボットは人の役に立つことが大事。グローバルで自動化が求められている今、まずはこれにしっかり応える」つもりだ。

 自らを「くよくよしない。明るく前進あるのみ」と評す。ロボットが社会に普及する黎明(れいめい)期に猛進する。
(文=大神浩二)
日刊工業新聞2016年1月21日3面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
小笠原新社長の手腕にはもちろん、会長専任になる津田氏の活躍にも期待大です。

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