【COP21を振り返る】♯4 議長国フランスの巧みな会議進行

 COP21の報告や「パリ協定」後の国内対応を考えるシンポジウムが15日、経団連会館で開かれました。主催は21世紀政策研究所です。歴史的な「パリ協定」採択は先月のことですが、年を越したせいか報道もすっかり減りました。  今回のシンポジウムでは、COP21の現場で国益をかけた駆け引きを目の当たりにした外務省国際協力局の吉田綾氏(気候変動交渉官)の講演が印象深かったです。200近い国の意見を吸い上げ、最終合意に持って行った議長国・フランスの舵取りを国際交渉のプロの目で分析していました。    吉田交渉官はフランスの巧みさをいくつか紹介しました。その一つが「フランスが一貫して筆を握り、コンサルテーションを通して『聞く』」ことでした。    フランスはCOP21が始まると「野心」「差異化」「適応」「森林」「前文」など課題別にグループに作って解決策を検討するコンサルテーションを進めました。そして賛成、反対など強い意見を主張する国を各グループのファシリテーターに据えました。「ファシリテーターにまとめる責任を持ってもらい、内部から反対にしくいようにした」ということです。  「議論から蚊帳の外された」と文句とつけられたり、気に入らないからと合意直前にちゃぶ台返しをされないように工夫した訳です。反対派も内部に取り込んだということでしょうか。  この話を聞くと09年のCOP15が思い出されます。合意文書案が密室で作られたと途上国が批判し、最終合意ができませんでした。    他にもフランスは「書きぶり」にも細心の注意を払って筆をとったようです。例えば途上国が強く求めた野心(高い目標)です。「長期目標」の条項で2度目標に1・5度努力目標を加え、5年サイクルで目標を見直すと書き足して「野心的」と読めるようにしました。  「先進国による支援を継続し、その他の国による自発的支援を奨励」の文書にも苦心の跡がうかがえます。先進国だけが支援するとは読めないからです。途上国は支援を求めますが、先進国はいつまでも支援を続けたくないのが本音です。  一気に話が飛び、話題もがらりと変わります。パリ協定採択直後の12月17日に開かれた「ESCO活用による省エネ経営セミナーin栃木」(ESCO推進協議会と日刊工業新聞社の主催)での松橋隆治・東京大学大学院教授の講演も興味深かったです。  松橋教授の講演テーマは、日本の温室効果ガス排出削減の大きな課題となっている家庭の省エネについて。10年前の家電を最新の省エネ家電に買い換えると、年収500万円くらいの家庭では電気代を年4万5000円削減できるそうです。  しかし、買い換えが進んでいないと指摘。電気代が浮くとわかっていても、省エネ家電購入の負担は小さくないからです。「技術だけで問題は解決しない。制度もないと民生(家庭)の省エネは開けない」と強調しました。  そして松橋教授は負担を軽くする制度が必要と主張し、自身が提唱する家電リース販売の仕組みを解説しました(電気代そのまま払い)。  これから家庭の省エネが日本の温暖化対策の本丸と思います。省エネ家電、エコカー、太陽光パネル、エネファーム、スマートハウスが売れれば景気にも貢献します。 

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