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ホンダが部品メーカーに伝えた来年度の世界販売目標の数字は?

4輪、前期比8%増の520万台。八郷社長は「チーム・ホンダ」強調
ホンダが部品メーカーに伝えた来年度の世界販売目標の数字は?

新型「シビック」は北米カー・オブ・ザ・イヤー2016を受賞。左が八郷社長

 ホンダは8日に都内で開いた部品メーカー向けの新年会で、2016年度の4輪世界販売を前期比8%増の約520万台とする目標を示した。八郷隆弘社長は壇上でチームワークを強調し、部品メーカーに協力を求めた。中国販売が大台の100万台を超えるなど朗報が続くホンダだが、1年前は主力「フィット」の品質問題に揺れていた。「去年より勢いを取り戻している」との見方が部品メーカーの間で広がっている。

意欲的な数値


 16年度は主力市場の米国や中国で販売する主力「シビック」の全面改良モデルが世界販売を牽引(けんいん)しそうだ。トヨタ自動車が16年暦年の世界販売を前年比ほぼ横ばいの計画を公表している。トヨタと比べホンダが新年会で発信した目標は、取引先と共有する内部的な目標とはいえ意欲的な数値と言えそうだ。

 「昨年の新年会は謝罪で始まったが、今年はポジティブな印象」。会場を後にしたある部品メーカー幹部はこう話した。主力車「フィット」の相次ぐリコールが発生し、急速な拡大路線による弊害が表面化したのが、ちょうど1年前。昨年の新年会は伊東孝紳前社長の品質問題の謝罪から始まった。

 翻って今年の新年会。八郷社長は昨年末から納入が始まった小型ジェット機「ホンダジェット」で明るい話題を提供しつつ、ある部品メーカー幹部によれば「鈴鹿の軽自動車生産で培った”チームホンダ“の動きを拡大する」と話した。自身の鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)所長時代で生み出した軽「Nシリーズ」のヒット経験を踏まえ、部品メーカーに協力を求めた。

余剰解消が課題


 一方でホンダはグローバルで拡大した生産能力の余剰解消が課題。特に低迷する国内生産は、輸出モデルを増やして立て直しつつある。会場では購買担当の松井直人執行役員が「今年はグローバル展開する車種で輸出を進めたいと話した」(別の部品メーカー幹部)といい、さらに輸出を拡大していく方針だ。

 こうした前向きなメッセージを「勢いが戻ってきた」と多くの部品メーカーが受け止めているようだ。ホンダジェットの納入開始だけでなく、年明け以降ホンダは朗報に沸いている。中国の昨年の新車販売が100万台の大台を突破し、米国では新型「シビック」が北米カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。この勢いを実績に結びつけられるか、多くの部品メーカーが注目している。
日刊工業新聞2016年1月13日 自動車面
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 社長就任から約半年が経過した八郷社長。人事や組織など、そろそろ「八郷色」が出てくるころと思われます。

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