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航空機部品の精密測定 支える東京の実力企業

 【立川】エイチ・エー・ティー(東京都国立市、吉田隆史社長、042・580・3480)は、航空機産業を対象に光学測定器の校正事業に本格参入する。校正施設の国際規格「ISO/IEC17025:2005」の認証を取得。月内に校正業務を始める。航空機部品は浸透探傷試験などの検査工程が必要になる。民間航空機需要の高まりを受け、校正需要は高いと判断した。2016年に事業単体の年間売上高1000万円を目指す。

 認証機関の米ペリージョンソン・ラボラトリー・アクレディテーション(PJLA、ミシガン州)から認証を受けた。これによりPJLAが相互承認協定を結ぶ国際試験所認定協力機構(ILAC)やアジア太平洋試験所認定協力機構(APLAC)でもエイチ・エー・ティー発行の試験報告書が有効になる。照度計や紫外線強度計、輝度計といった光学測定器の校正を行う。

 同社は航空機エンジンなどの航空宇宙関連部品の加工が主力。12年に航空機関連の非破壊検査事業に参入すると同時に、校正事業にも乗り出したが、国際規格は取得していなかった。

 同規格の認証が必要になる場合、これまでは米国の認定機関に測定器を送って対応していた。ただ、通関手続きなどが煩雑になり「校正には通常、1カ月程度必要だった」(吉田社長)という。

 同規格を取得したことで「輸送コスト削減に加えて、機器の校正を最短1週間で行うことができる」(同)とみている。まずは需要増が見込まれる航空機産業をターゲットに据えて、事業が軌道に乗った段階で自動車産業などの業種にも広げていく方針だ。
日刊工業新聞2016年1月12日 モノづくり基盤・成長企業面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
航空機部品の製造に精密さが求められるのはイメージしやすいです。が、部品の測定器を校正する事業者にも国際規格があるとは、恥ずかしながら知りませんでした。 国際規格という壁があるがゆえに、規格を取った会社はそれをビジネスにできる。奥深い世界だと感じます。事業の規模はどれくらいになるのでしょうね。

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