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「ズキン」「シクシク」…実際どんな痛み?患者の痛み可視化、診断システム開発

電通大、オノマトペ(擬音語や擬態語)で表現した痛みの質を定量化
 電気通信大学の坂本真樹教授らの研究グループは、「ズキン」や「シクシク」といったオノマトペ(擬音語や擬態語)で表現した痛みの質を定量化する診断支援システムを開発した。痛みの度合いを「強い」「鋭い」など複数の要素で数値化するほか、分かりやすい比喩と組み合わせることで患者の主観的な痛みを可視化する。判定結果を英語など多言語で表示することも可能。海外の医療機関を受診する際などに活用が見込める。

 例えば、病院の問診時に頭痛の程度を伝える場合、「ズキンと痛い」「ガーンと痛い」「シクシク痛い」といった多様なオノマトペが使える。ただ、こうした表現はイメージとしては伝わるものの、痛みの定量的な指標があるわけではない。

 坂本教授らが開発したシステムは、「ズキン」と入力すると、その痛みの質を、強い(0・42)、鋭い(0・14)、重い(0・28)、短い(マイナス0・17)、狭い(マイナス0・07)、深い(0・31)、熱い(0・18)、大きい(0・28)というように項目ごとに数値で表す。

 さらに、「ハンマーで殴られたような痛み」「電気が走るような痛み」などと例えて表現することで、痛みの質をさらに的確に伝える。「ガーンと痛く、ハンマーで殴られたような痛み」だと患者が言った場合、「くも膜下出血の確率が高い」と医師が即座に判断できるなど、問診の円滑化が見込める。

 海外滞在時の利用のほか、子ども相手で診断が難しい小児科や高齢者の認知症診断向けなどの利用も見込んでいる。すでにスマートフォン向けアプリケーションとして完成しており、今後、普及を目指す。
日刊工業新聞2016年1月8日 科学技術・大学面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
「どんな痛みですか?」と病院で聞かれたとき、「ハンマーで殴られたよう」「針で刺されたよう」など比喩がしやすい痛みならいいのですが、もう痛すぎてよくわからない時も…。簡単なオノマトペで数値化でき、さらに言語が通じない海外でも数値で可視化できるという点は診察の確実性が高まりそうです。

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