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産廃一歩手前?から高機能食品へ

低糖質で植物繊維豊富なおからやフスマが人気
産廃一歩手前?から高機能食品へ

糖質0g麺(紀文食品ウェブサイトから)とパンdeスマート ミックス(鳥越製粉ウェブサイトから)

「おから」は豆乳を搾った大豆のカス。「フスマ」は小麦の精白で残るヌカ部分。単独で食用にする場合は少なく、家畜の飼料にするか、廃棄するケースも少なくない

 そんな産業廃棄物一歩手前のおからやフスマが、高機能食品として見直されている。食物繊維やミネラル分が豊富で低カロリー。さらに糖質が圧倒的に少なく、低糖質ダイエットや糖尿病患者向けの食品として最適という

 おからとこんにゃくを練り合わせ、きしめん状にした紀文食品(東京都中央区)の『糖質0g麺』は一時、スーパーなどで品切れが相次いだ。こんにゃくだけの麺に比べて食べやすく、スープや具になじみやすい

 フスマ主体に配合した鳥越製粉の『パンdeスマート』シリーズは、いまや低糖質パン用ミックスの定番として同社の業績に貢献している。異例ながら大手コンビニエンスストアが自社商品の原料として明示している

 実食すると麺やパンとしては美味とは言えないし、価格も小麦の製品の数倍する。しかし低糖質や低カロリーを求める人には欠かせないから、需要はそれなりに見込める。何より産廃から高機能食品に転じたというのが痛快ではないか。こんな逆転劇が、もっとないものか。
日刊工業新聞2015年9月23日 産業春秋)
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 低糖質はブームでなく科学的な食事法です。いずれ日本でも広く受け入れられ、大きな市場になるでしょう。

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