【COP21を振り返る】♯1 海外企業が続々、再生エネ100%宣言

脱炭素をめぐる動向

 パリで開かれた気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP)の会場に、リコーの加藤茂夫執行役員も詰めていた。会議運営に欠かせない文書の印刷業務を同社が担当したからだ。最終日前に帰国したためパリ協定の採択の告げる木槌が打たれた歴史的瞬間には立ち会えなかったが、会場の空気に触れた数少ない日本企業関係者の一人だ。  現地で会談した海外企業トップは「化石資源に依存しない脱炭素やゼロエミッション(温室効果ガスの排出ゼロ)にすべきだ」と口々に語っていた。リコーは環境問題に取り組む企業姿勢が評価され、国連とフランス政府からCOP21の文書印刷を要請された。その同社でも海外企業の意識の高さに刺激を受けた。「脱炭素への流れは止められない。取り残されるのではないかと危機感を持った」(加藤執行役員)という。  産業界は高い排出削減目標の設定にはどうしても慎重になる。排出抑制はエネルギー使用を制約し、企業活動の足かせになるからだ。しかし脱炭素化に前向きな海外企業が増えている。  データセンターで大量のエネルギーを消費するアップル、グーグル、マイクロソフトなど米IT企業が事業で使う電力全量を再生可能エネルギーにすると宣言している。再生エネ100%を目指す企業組織「RE100」も結成され、イケアやBT、SAP、ネスレ、ユニリーバなど50社が参加する。  パリ協定では各国の削減目標は引き上げを前提に定期的に見直されるため、企業への削減圧力は強まる。米国などでの火力発電への規制強化もあり、化石資源由来の電力の値上がりも避けられない。将来、CO2の排出はコストとして重くのしかかり、経営リスクとなる。  再生エネ100%を宣言した企業は、CO2の排出で増える負担を回避しようと脱炭素へと舵を切った。電力の使う側が再生エネを大量導入すると太陽光や風力のコスト低減が後押しされ、いずれ経済性と環境性を両立できると見込む。  パリ協定では温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標も共有された。海外企業の環境・CSRに詳しいサステナビリティ日本フォーラムの後藤敏彦代表理事は「ベクトルチェンジを認識しない企業は必ず退場を迫られる」と日本企業に警鐘を鳴らす。  パリ協定が発効する20年以降、地球上のほとんどの国が削減目標を持つため、企業はどの国で事業を展開しても温暖化対策が迫られる。パリ協定が自社の事業に及ぼすリスクを点検すべきだろう。再生エネ100%を宣言しなくても、中長期的な排出削減計画を検討すればリスクにも早く対処できる。

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