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「破たん」劇的ビフォーアフター!JALは変わったか(9)数字が飛び交う業績報告会

結果の見える化で新たなモチベーションを引き出す
 「1月の部門別採算の実績は収入が予定の99・5%、費用が96・9%でした」。日本航空(JAL)の子会社で、航空券の電話予約を受け付けるJALナビアの業績報告会の一コマだ。同社は2014年10月に「部門別採算制度」を導入。約10人のユニットごとに月1回、業績報告会を実施している。JALは現在、主要連結子会社35社のうち、部門別採算制度を23社に導入している。

 JALが京セラの経営手法である部門別採算制度を導入したのは11年4月。導入に当たり、グループの収支を明確にするため、業務ごとに収入や費用を細かく設定した。制度設計は京セラグループのコンサルティング会社、KCCSマネジメントコンサルティングと連携して進めた。

 JALナビアでは受電、新規予約の獲得、Eチケットの発券など、各業務ごとに単価を設定し、収入を算出。これをもとにグループ全体と社員1人当たりの目標を設定し、毎月の収支を出す。業績報告会ではさまざまな数字が飛び交い、グループ全員で結果を分析して対応を話し合う。

 1月は突発的な欠勤が多く、受電の件数は目標の97・1%と未達となった。この数字をユニット長が提示すると、「ユニット全体の1日当たりの目標件数を日々チェックできるようにすれば、取り組みやすくなる」という意見が出た。このユニットでは翌月から新たな数字を出し、目標達成に近づける工夫をすることになった。

 JALナビアの業績報告会で確認する数字は、残業時間や電話1件当たりの処理時間など、収支に直接関係ない数字もある。多岐にわたる数字を駆使し、利益最大化のためにどのように業務改善をしたらいいか、グループ全員で方向性を探る。

 東京予約センター国内線予約グループ長の岩佐由起子は「数字を並べても、混乱するのではないかと不安だった」と部門別採算には疑心暗鬼だった。しかし結果が目に見えることで、「電話を取れば売り上げにつながることが分かり、頑張れるようになった」と、今では効果を実感している。

 効果が分かれば、新たなモチベーションが生まれる。岩佐は「みんなでコミュニケーションを取りながら、新たな数字の割り出し方を考えたい」と、部門別採算のさらなる深化に意欲をみせる。(敬称略)
日刊工業新聞2015年03月18日 建設・エネルギー・生活面
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
航空券の電話予約などを手がけるJALナビアは、小さなお子さんのいる女性の方が多く、1月はインフルエンザが流行って、突発的にお休みが増えてしまったそうです。寒い冬にお子さんが風邪をひいてしまうのは避けられない中で、お互いをどうカバーするか。部門別採算制度は、数字から働き方とか生活とか、いろんなものが見えてきて、それをみんなで考えて乗り越えるものなのだと、業績報告会に参加して感じました。

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