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軽の低迷浮き彫り。今年の新車販売

4年連続の500万台はぎりぎり届きそう
 2015年も残り1カ月を切り、国内新車販売台数の暦年の着地点が見えてきた。登録車は10―11月の販売が前年並みで推移し、この傾向が12月も続くと暦年の台数は前年比4・5%減の314万台強となる。軽自動車は前年が高水準だった反動で12月は大幅減が避けられず、暦年で同16―17%減の190万台前後になる見通し。合計で4年連続となる500万台の確保はぎりぎり叶いそうだが、確実な達成には年末商戦での最後の追い込みが求められそうだ。

 日本自動車販売協会連合会(自販連)によると、登録車の1―11月の累計販売台数は前年同期比4・8%減の291万1226台。10月は前年同月比0・2%増、11月は同0・3%増とともに前年並みの水準だった。12月が前年と同数と仮定すると、暦年の累計販売は314万3185台になる。日本自動車工業会(自工会)が3月に公表した需要見通し(308万5100台)との比較では6万台弱上振れる。

 自販連は「11月の受注状況のサンプル調査をみると、新型車の有無により系列ごとの明暗がはっきり現れている」と説明。東京モーターショーの効果については「問い合わせや来場が増えた販売店もあるが、受注につながっていない。11月の名古屋に続き、12月に大阪と福岡で地方モーターショーがあり、受注増を期待したい」(自販連)としている。

軽増税の影響如実に


 一方、軽自動車の1―11月の累計販売台数は前年同期比14・8%減の176万5826台。軽自動車税増税の影響もあり、1月から11カ月連続で前年同月水準を下回った。12月はさらに減少幅が拡大する見通しだ。前年は増税前の駆け込み需要に加え、スズキダイハツ工業の2社が暦年販売の首位攻防を年末まで繰り広げた影響もあり、過去最高の販売を記録した。

 今12月はその反動が押し寄せるため「非常に厳しい」との見方を全国軽自動車協会連合会(全軽協)は示す。全軽協は、12月の販売が前年同月比30%減の場合で暦年累計が約190万6000台、40%減の場合で約188万6000台になると試算する。3月の自工会の需要見通しと比べても5万―7万台下振れる見込みで、軽の低迷が浮き彫りになっている。

スズキ「ジムニー」20年ぶり全面改良へ


 スズキは軽4輪駆動車「ジムニー」を約20年ぶりに全面改良する。2018年の発売を目指し、4代目となる新型の開発をスタートした。国内外でスポーツ多目的車(SUV)人気が高まる中、フレーム構造を採用して歴代ジムニーの本格クロスカントリー路線を継承。乗り心地を重視する他車種との差異化を追求する。

 ジムニーの初代モデルは1970年に発売。現行モデルは98年に全面改良した。以降、細かい改良を重ねてはいるが、モデルの短命化が進む自動車業界では珍しいロングライフ車となっている。

 新型は歴代ジムニーと同じく、はしご状フレームに車体を載せるラダーフレーム構造を採用。強度と耐久性を重視する。「高い悪路走破性など”原点回帰“しながら新装備を取り入れる」(スズキ関係者)方針だ。

 アウトドアレジャーの広がりを背景に人気のSUVだが、最近は乗り心地重視のモノコック構造が主流。その中でジムニーは数少ないフレーム構造の小型本格クロカンとして世界に根強いファンを持つ。ジムニーには登録車タイプもあり今回、同時期にモデルチェンジを計画する。
日刊工業新聞2015年12月3日/4日自動車
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
国内の自動車販売は500万台を早晩割り込むだろう。今は輸出の好環境に助けられているが、国内生産の落ち込みは産業界全体(賃金や技能伝承などさまざまなものへ波及)に影響が出てくる。再編だけでなくディーラーの業態転換なども起こってくるだろう。

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