勢い続く関西企業のIPO。モノづくり系に強さ

大阪府が支援プロジェクト。ベンチャー21社選定し、先輩起業家が助言

件数は少ないものの着実に伸びている

 関西に本拠を置く企業の新規株式公開(IPO)の件数が、少ないながらも確実に増えている。件数は東京が圧倒的に多いものの、大阪府もベンチャー企業のIPO支援に乗り出すなど環境は変わりつつある。関西企業の動向を探った。  2015年の年間IPO件数は、12月25日上場予定分までを含めて全国で99件となった(11月25日現在)。06年には188件もあったIPOは、ライブドアショックや08年秋のリーマン・ショックなどで、09年にはわずか19件に激減。その後、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を追い風に年々順調に増加している。しかし、IPO件数の約60―70%を東京が占める。15年の関西はわずか9・1%の9社に過ぎない。  それでも、ここ5年で過去最高の件数となった。15年の関西のIPO企業は、情報・通信業3社、機械3社のほか、不動産業、サービス業、小売業が1社ずつ。東京証券取引所上場推進部の松井佳彦調査役は、「東京では情報・通信業が圧倒的に多い。割合から言えば、関西で3社も機械があるのは驚きだ」と関西のモノづくりの強さを実感する。  IPOの主なメリットは資金調達の幅を広げることだが、実際には「知名度・信頼度の向上」を実感する企業は多い。6月にジャスダックに上場したナガオカは、前身の会社が04年に民事再生法の適用を受けている。その主な原因が事業承継の問題であったことから、新会社を引き受けた三村等社長は「企業として一人前に認められることが必要だと感じた」と、上場を目指した理由を話す。  IPO実現のために企業が努力すべき事は多い。上場維持費用が継続的にかかるほか、四半期ごとの決算説明資料などの情報開示スピードは年々速くなっている。ショーエイコーポレーション(08年ヘラクレス〈現ジャスダック〉上場)の芝原英司社長は「総務や経理が弱い企業にとっては大きな負担になる」と話す。  そうした不安感から、上場に尻込みする企業は多い。そんな中、大阪府は「大阪府ベンチャー企業成長プロジェクト”Booming!“」を始めた。審査を通過した21社のベンチャー企業に対して、成功企業が丁寧にアドバイスを与える。  大阪府商工労働部担当者は「先輩起業家が後輩起業家を育てる仕組みが足りなかった」と現状を分析する。その上で「20年までに大阪から3社の上場企業を生み出す」と、目標を立てている。 (文=大阪・園尾雅之)

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