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ロボット市場で存在感を高める日本電産

モーター以外でも着々布石
ロボット市場で存在感を高める日本電産

モーターを内蔵したアクチュエーター

 日本電産がロボット市場への布石を着々と打っている。「サービスロボット市場はものすごく拡大する。2020年以降だが何兆円規模にもなる」(永守重信会長兼社長)と、ロボット向けビジネスを次世代の成長の柱と位置づける。すでに掃除機ロボットのモーターでは圧倒的なシェアを確保しているが、モーター以外のキーコンポーネントでも存在感を高めつつある。

 ロボット市場の開拓で先兵役となっているのが、日本電産シンポ(京都府長岡京市)。モーターの高速回転を減速し、必要な回転数とトルクを取り出す減速機のメーカーで、2日開幕の「2015国際ロボット展」では、ロボット向け減速機や、減速機とサーボモーターを組み合わせた無人搬送車(AGV)を出展した。

 多くの関節の駆動が必要なロボットでは、モーターだけでなく減速機も欠かせない重要部品。もともと同社は産業機器用減速機を得意とし、ロボット向けは参入していなかったが、6月に産業用ロボットの手首などの駆動に適した波動歯車減速機「フレックスウェーブ」、11月には肘部分から下の基本軸に適した内接式遊星減速機を相次いで発売。ハーモニック・ドライブ・システムやナブテスコが抑えていた市場にあえて参入した。さらにフレックスウェーブを薄型化しモーターを内蔵したアクチュエーターを新たに開発。サービスロボットや介護向けパワードスーツなどへの搭載を狙う。
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日刊工業新聞2015年12月03日電機・電子・情報・通信
尾本憲由
尾本憲由 Omoto Noriyoshi 大阪支社編集局経済部
モーターはエレクトロニクスの基本である。現在の大手総合電機も、元をたどればモーターが主力事業。それだけに日本電産が未来永劫モーターメーカーにとどまるいわれはない。そこで最初の試金石となるのがロボット。モーター以外のキーコンポーネントを抑えるだけに、そこでどのような事業を展開するのか?日本電産の未来を占う意味でも注目だ。

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