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近藤那央のロボット解体新書! 力覚センサメーカー ワコーテック(前編)

力覚センサでロボットを器用に、臨機応変に!
近藤那央のロボット解体新書! 力覚センサメーカー ワコーテック(前編)

右から、鈴木信人東京営業所長、岡田和廣社長、近藤那央、東京営業所 営業部 海外企画課 岡田美穂氏

 かつて「ロボット」といえば、ぎこちない動きを連想させるものだった。「ロボットダンス」がその象徴と言えるだろう。しかし現在のロボットはなめらかに動き、正確で素早く作業をするのが当たり前となっている。
 このロボットの動きを実現しているものこそ、日本が世界に誇る要素部品である。一見地味でどんな役割があるのかわかりにくい部品たちだが、その凄さを知ればロボットへの見方も一段深くなるかもしれない。
 部品の秘密を探るのは、現役女子大生ロボットクリエイターの近藤那央さん。産業ロボットの動きを実現する秘密に迫ります!

ロボットの器用な作業をサポート


 ロボットがモノをつかむとき、どのような強さでつかめばよいのか分からなければ、つかんだ対象物を壊してしまう恐れがある。しかし最近では、人間のように器用に組み立て作業を行ったり、微妙な力加減の調整が必要な研磨作業を行ったりするロボットも増えている。このような力に関する動作をサポートするのが力覚センサだ。ワコーテックは低価格かつ高性能な力覚センサを開発し、ロボットへの搭載を広めた企業である。

 同社の岡田和廣社長がまず見せてくれたのは、さまざまな大きさの力覚センサ。

近藤「すごく小さいものがありますね!」
岡田社長「これは世界最小の力覚センサですよ。直径は10ミリです。」
近藤「おお~かっこいい!大きいものと、小さいものではどのような違いがあるのですか?」
鈴木信人東京営業所長「産業用ロボットに採用されている主な製品は荷重別に3タイプあります。荷重が200ニュートン、500ニュートン、1000ニュートンで、最大100キログラムまで量れます。産業用ロボットアームの手首に付けるにはこのぐらいの荷重に耐えるものが必要で、さらに先端に付ける荷重の小さいものであればMEMS(※1)という技術を使ったものになります。指先などに付けることを想定しています。」

ロボットにとって大変な「臨機応変」


 同社の力覚センサは、実は一般的なものになったのはごく最近。自動車メーカーなどの工場で使われるロボットに使用されることが多いという。

 自動車製造工程では、溶接と塗装はほぼ100%ロボットが行って車を作っている。しかし組立工程は複雑で、どうしても人手に頼る作業が出てくる。人の特徴は、臨機応変に対応できる点。「明日からラインが変更になりますよ」という時でも、作業指示書を見てすぐに対応できる。

 しかしロボットはそうはいかない。変更に合わせて動きをティーチング(※2)しなおさなければならず、時間がかかる。また人と同じような作業や、人と協調して作業をする場合、モノや人にぶつかった時に衝撃を感知し止まる必要がある。これらの時に、力覚センサやトルクセンサが必要になってくるのだ。
ニュースイッチオリジナル
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
ロボットのアームの先にちょこんとついている力覚センサ。「2015国際ロボット展」ではどんなロボットについているか、注目してみてください!

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