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工場のオシャレ化で女性従業員を呼び込む!被災水産会社の挑戦

カフェをイメージした食堂や商品開発室、パウダールームなど完備
工場のオシャレ化で女性従業員を呼び込む!被災水産会社の挑戦

カフェをイメージした社員食堂(大森の本社兼工場)

【仙台】大森(宮城県気仙沼市、大森寛社長、0226・29・6936)は、女性従業員に配慮したデザインの水産加工工場を完成した。工場内にはカフェをイメージした食堂や商品開発室、女性向けパウダールームなどを完備した。同社は東日本大震災で旧工場が流失し、仮設工場で操業していた。被災地の水産加工業者が人手不足に悩むなか、デザイン性の高さが人材確保の決め手になるか、注目される。

 新設した水産加工工場は、水産業共同利用施設復旧整備事業に採択された。土地取得や機械導入、工場建設費などの総投資額は4億円弱。年内にも稼働する。敷地面積は1217平方メートル、延べ床面積は643平方メートル。HACCPに対応する。

 稼働は当面6人体制とするが、「来年の繁忙期までには女性従業員を採用し、15人体制で稼働する」(大森寛社長)計画としている。

 当面はカツオなどの鮮魚仲買、イクラなどを使った水産加工工場として稼働するが、将来は自社製品を使ったカフェ運営などBツーC(対消費者)事業の開始も視野に入れる。

 設計・施工を担当した総合建設業のタカヤ(盛岡市)の工場ブランド「ファクトリア」の第1号案件となった。同社の担当者は、デザイン性の高い工場について「人材不足に悩む全ての製造業者に提案していきたい」という。

 大森香織大森専務は工場新設について「女性を堂々と募集できる工場にしたかった」と話す。震災前は男性のみ雇用していたが、水産加工食品業では女性従業員が必要なため、衛生環境やデザインなどに配慮した。

 大森は14―15日の2日間、設計、施工を担当した建設業タカヤと共同で工場見学会を開く。
日刊工業新聞2015年11月13日 中小企業・地域経済2面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
被災した方が転居したりなど、人材不足が問題になっています。これだけおしゃれな工場であれば、観光スポットや地元の方向けの施設としても活用できそうです。せっかく建て替えるのであれば、新しいことに挑戦しようという前向きな挑戦が素晴らしい。

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