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《新幹線に沸く北陸#01》2つの観光列車で誘客たたみ掛け

石川県、観光客過去最高に
《新幹線に沸く北陸#01》2つの観光列車で誘客たたみ掛け

景色を絵画に見立てる観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」

 3月に開業した北陸新幹線が、北陸に観光客を呼び込んでいる。1―6月に石川県を訪れた観光客は前年同期比13・2%増の1195万人で、年間では2453万人と過去最高を更新する見通しだ。JRグループでは10月から、観光PR事業「デスティネーション・キャンペーン(DC)」を実施。JR西日本は2本の観光列車を新たに投入するなど、さらに誘客をたたみ掛けている。

 JR東日本によると、3―9月の北陸新幹線の高崎―軽井沢間の乗車人員は前年同期比94%増の1020万1300人で、乗車率は62%。これには軽井沢や長野で下車した人数も含まれ、新幹線開業が北陸だけでなく信越地方への旅客流動も喚起した。

 また、JR西日本が公表した上越妙高―糸魚川間の乗車人員も同3・0倍の502万人と大幅に拡大。停車駅が少なく、最短で富山や金沢に到着する速達タイプの「かがやき」は、午前中の上りや夕方の下りなど需要の高い時間帯が、平日でも満席の状況が続いている。

 JR西日本はDCに合わせて、富山と石川で観光列車を投入し、人気を集めている。3日から金沢―和倉温泉間で運行を始めた観光列車「花嫁のれん」は、「和と美のおもてなし」がコンセプト。2両編成の1号車の壁面には、金沢の伝統工芸である金箔(きんぱく)が施され、各座席は友禅のオールドコレクションをあしらうなど荘厳な雰囲気の列車となっている。

 富山では氷見線の高岡―氷見間と城端線の高岡―城端間で、「ベル・モンターニュ・エ・メール(愛称べるもんた)」を10日から運行。外観は貴婦人をイメージした深緑で、車窓を額縁に見立て、景色を絵画のようにみせるのがコンセプトとなっている。

 車内には沿線の伝統工芸品「井波彫刻」を飾り、富山ならではのサービスとして、車内で握りたてのすしを提供している。

 花嫁のれん、べるもんたともに、沿線の魅力をぎっしり詰め込んだ観光列車だ。べるもんたは、運転中にすしを提供するため、車内にカウンターを設置するなど運行まで苦労したという。苦労のかいあって、いずれも予約は好調で、年内の運行日はほぼ満席となっている。
日刊工業新聞社2015年10月28日生活
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
開業後、何度か北陸新幹線に乗りましたが、午前中のかがやきは、だいたい満席。新幹線の開業効果は、やはりすごいなと実感します。

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