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やっぱり“爆買い”はすごかった。「国慶節」で百貨店販売は絶好調!

大手5社の10月売上高、7カ月連続で前年同月を上回る
やっぱり“爆買い”はすごかった。「国慶節」で百貨店販売は絶好調!

中国が国慶節だったこともあり、訪日外国人の売上高が伸びた

 百貨店大手5社が2日に発表した10月の売上高速報値(既存店ベース)は、いずれも7カ月連続で前年同月を上回った。前年に比べ休日が1日多いことも寄与しているが、引き続き好調なインバウンド(訪日外国人)の消費に支えられた格好だ。

 上旬は中国が国慶節だったこともあり、訪日外国人の売上高が伸びた。高島屋、J・フロントリテイリングのほか、訪日外国人の来店が多い三越伊勢丹の基幹3店(三越銀座店、伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店)はそろって同1・9倍程度の伸びだった。

 国慶節では中華圏からの訪日外国人の“爆買い”もあったとみられるが、中でもJフロントでは「自らが使用する美容液が売れた」などとしており、これまでの訪日外国人の購買傾向にも若干の変化があることを指摘した。引き続き有名ブランド品など、婦人服の特選雑貨は各社、好調だった。

 百貨店売上高をけん引しているのが、訪日外国人と国内富裕層だが、富裕層の購入が多いとみられる宝飾品は高島屋が同29・4%増(時計含む)となったほか、Jフロントも同18・0%増となった。また三越伊勢丹ではおせちの受注が好調なほか、ネットによる歳暮の販売も伸びているという。

受け入れ体制・サービスも奏功!?


日刊工業新聞2015年10月01日付


 中国で1日の「国慶節」からの大型連休が始まった。大型連休期間中の訪日外国人による“爆買い”を取り込もうと、百貨店各社が知恵を絞っている。免税カウンターを増やすなどして利便性を高めるとともに、日本のモノづくりや文化をアピールして顧客獲得を目指す。

 松屋銀座は国慶節前日の30日、訪日外国人向けに特化した化粧品売り場を開いた。資生堂など4ブランドが出店し、中国語や英語を話せる美容部員が常駐する。古屋毅彦本店長は「免税手続きまで一気通貫でできる」と利便性をアピールする。

 新宿高島屋は訪日外国人売り上げ目標を、2014年の国慶節対比1・5倍に設定。臨時の免税カウンター設置や、訪日外国人が消費税込みで5万円以上買い物すると、店舗までのタクシー代を最高1000円払うサービスを1日に始める。日本ブランドの化粧品や美容家電、雑貨の品ぞろえを強化し、振り袖の着付けや茶の湯といった体験型サービスも実施する。

 大丸松坂屋百貨店の松坂屋上野店では日本の伝統工芸品やアクセサリーを集めた「ものづくりマーケット」を初開催し、中国語と英語のPOPでアピールする。真珠や時計、食器の売り場でも、日本製商品にスポットを当てる。大丸東京店は通訳スタッフを1人から3人に増員し、制服も中華系の人に人気の赤色に刷新した。

 三越伊勢丹ホールディングス(HD)は訪日外国人の来店が多い三越銀座店や伊勢丹新宿本店で、土産カタログの配布や日本ブランドの紹介ツアーを実施する。三越日本橋本店も合わせた基幹3店では、日本航空と提携して空港配送無料サービスも1日から実施する。中国のメッセンジャー・通信アプリ「微信」を活用し、東武百貨店池袋本店は店舗情報の発信、大丸松坂屋百貨店は決済サービスを始めた。 
                                            
(2015年11月03日 総合4/国際)
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
中国の経済成長の鈍化など“どこ吹く風”のインバウンド需要。そのハイライトと呼べそうなのが10月上旬の国慶節だった。訪日外国人が年間2000万人も視界にとらえる中で、この勢いはまだまだ続きそう。だが、この恩恵がなくなったら…。振り返れば、百貨店業界は2013年まで16年連続で前年割れが続いていた。インバウンド需要の取り込みとともに、好調時にこそ、次の展開を考えるチャンスといえそうだ。

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