「メードイン宇宙」の3Dプリント部品が地球に帰還

NASA、有人宇宙船で工具など自給自足目指す

ISSの3Dプリンターで作られた樹脂製レンチを手にするBarry Wilmore宇宙飛行士(NASA提供)

 地上400kmの遥か上空に浮かぶ国際宇宙ステーション(ISS)。米航空宇宙局(NASA)がこのISSの実験室で精力的に取り組んでいるのが、人類初、重力ゼロの環境下での3Dプリンティング実験だ。  ISSにある3Dプリンターは昨年9月に打ち上げられ、11月に実験室に設置された。地上から3Dデータを送り、初の試みとしてラチェットレンチを作製。その後、合計14種類21個の樹脂製の工具やスペアパーツを作り出している。ちなみに、こうした「作品」は作りっぱなしではない。イーロン・マスク率いる宇宙ベンチャー、スペースXのドラゴン宇宙船で地球に運ばれ、4月6日にアラバマ州ハンツビルにあるNASAマーシャル宇宙飛行センターの積層製造ラボに到着した。  なぜ、わざわざISSで作った部品を高いコストをかけて地球に帰還させたのか? 理由は簡単、検査にかけるためだ。ISSに打ち上げられる前の同じ3Dプリンターを使って地上で作製したサンプルと、ほぼ重力ゼロのISSで作ったものを電子顕微鏡などを使って比較するとともに、耐久性や強度なども詳細に分析。問題点などを洗い出すことで、将来、火星や小惑星、あるいはスペースコロニーに長期間にわたって有人宇宙船を送り出す際、スペアパーツや工具などを自給自足で作り出すのに役立てるのが目的という。  ちなみに、ここで使われた3Dプリンター「ゼロGプリンター」は、2010年設立のメイド・イン・スペース(カリフォルニア州)が開発。シリコンバレーにある米グーグルの本社にほど近い、NASAエイムズ・リサーチセンターの敷地内に本社を置く。同社はこれにとどまらず、近い将来の宇宙利用を目指して、セラミックスや複合材料、耐熱性プラスチックを使える次世代3Dプリンターの開発にも力を入れている。3Dプリンターで世界をリードする米国だが、それを使った「メードイン宇宙」のモノづくりでもかなり先を行っているようだ。

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