村田製作所は一日にして成らず(7)小さいことは良いことだ

競争力の源泉は材料から

材料開発ではシミュレーションが有効

**実験で模索  「毎日毎日実験をやって、どうしたら特性を出せるのか暗中模索の状態が続いていた」。材料技術を担当する執行役員の鴻池健弘は、現場での日々を今でも鮮明に覚えている。セラミックス材料の開発が長かった鴻池は、材料開発の難しさを知るひとりだ。材料開発は創業来約70年間続く、村田製作所のお家芸。独自製品を生み出すため、進化を繰り返している。  電気炉に材料を入れて1日、2日と焼成するが、釜を開けるまで結果は分からない。来る日も来る日も満足な成果が得られないことは一目瞭然。しだいに現場は重い空気に支配される―。「今でもこうした経験を重ねながら、新材料を開発している」と鴻池は現場の苦労をねぎらう。  材料開発は高度化が進み、現在では「1ミリメートルの数千から数万分の1単位で設計しており、原子一個一個の動きに近づいている」(鴻池)という。異なる材料を積層させるときに、数ナノメートル(ナノは10億分の1)だけ違う層を形成することもあるほど。粒子の大きさや形状を高い精度で制御し、高密度で均質に分散させる加工技術などが村田の競争力の源泉だ。  同社の主力製品の積層セラミックコンデンサー。最新の量産品「0402サイズ(0・4ミリ×0・2ミリメートル)」には、百数十億個のセラミックス粒子が詰まっていると言われる。このうち一粒でも問題があれば、ショートなどの不具合につながる可能性もあるという。  **製造を内製化  素材にこだわる部品メーカーは日系を中心に多いが、村田のもう一つの強みは製造設備の内製化にある。設計した材料を品質を担保しながら、いかに低コストで量産できるか―。自社で設備を手がけることで「製法やコストミニマイズに対するすり合わせが非常にうまくいく」(同)と鴻池は胸を張る。内製化へのこだわりは設備に留まらず、化学・物理現象を解析するソフトウエアの開発も自社で行うほどだ。  電子部品の性能に決定的な影響を与える材料技術。肉眼では識別が難しいほどの超小型部品などで競合の先を行く強さは、材料にあると言っても過言ではない。門外不出の“レシピ”は、日々変化を遂げながら継承されていく。(敬称略)

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