村田製作所は一日にして成らず(6)推奨品は強し

スマホに「ムラタ」も入ってます

販売台数を伸ばし存在感をみせる中国・ファーウェイのスマホ(ブルームバーグ)

**精鋭部隊を投入  米カリフォルニア州サンディエゴ。今から数年前、この街に村田製作所の精鋭部隊が送り込まれた。彼らに与えられた任務は、スマートフォン業界の新たな“権力者”との関係構築。その相手とはスマホ向け通信チップでトップを走るクアルコム。村田が半導体会社に秋波を送るのは、中国など新興の端末メーカー開拓に不可欠なためだ。  スマホ市場では高価格機種の伸びが鈍化し、新興国向けの中低価格機種が勢いを増す。米アップル、韓国サムスン電子に加え、新興メーカーへの拡販が部品各社のスマホ向け事業を左右する。  新興メーカーは端末開発に半導体会社が提供する「リファレンスデザイン(基板の設計図)」を用いる。設計図通りに部品を組み合わせるだけで、製品を簡単に作れるからだ。このため「半導体会社との連携は避けて通れない」(取締役常務執行役員中島規巨)のが実情。クアルコムのリファレンスを使う端末メーカーは40社以上を数える。  スマホで苦戦していたTDK。上釜健宏社長は「我々は個々の端末メーカーには行っていたが、リファレンス活動はやっていなかった。これが失敗」と話す。一方の村田はリファレンスの重要性をいち早く察知し、“半導体会社詣で”を繰り返してきた。  リファレンスへの採用には「開発当初から関わり、半導体会社と一緒にソリューションを作り上げる」ことが肝要と中島。接触機会を増やすため、主要な半導体会社の近くに技術提案などを行うラボを設置した。  村田には1―2年で急激に引き合いが増えた商品がある。高周波部品の表面弾性波(SAWフィルター)だ。ある半導体会社のリファレンスに村田の名前が記載されたのが理由の一つ。ラボを拠点に半導体会社に販売攻勢をかけ、置き換えに成功したとみられる。  **キーマンに照準  一方、半導体会社の勢力図はクアルコムの一人勝ち状態から変わりつつある。中国の主要端末メーカーを押さえる台湾メディアテックの台頭だ。村田も熱視線を注ぐ。  同社は地場の部品メーカーを優先する傾向にあり、日本勢は苦戦模様。その中で村田は台湾などにラボを構えて素早い提案活動を展開。同社への食い込みに成功した。社長の村田恒夫も「ローエンド向けの体制は同業より先行している」と自信をみせる。 (敬称略、肩書きは当時のまま)

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