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レンズ16個でデジタル一眼並みのクオリティー、米ライトが小型デジカメ発表

将来はスマートフォンにもマルチレンズ機能搭載へ
レンズ16個でデジタル一眼並みのクオリティー、米ライトが小型デジカメ発表

ライトの「L16」(同社提供)

 デジタル一眼に匹敵する写真クオリティーでありながら、スマートフォン並みの手軽さを実現ーー。こんなうたい文句のもと、16個ものカメラモジュールを搭載した、まったく新しい撮影方式のデジタルコンパクトカメラ「L16」の試作機をシリコンバレーのスタートアップ企業、ライト(Light)が発表した。

 通常のカメラのようにレンズ部分が飛び出ておらず、厚めのスマートフォンといった外観。35mm-150mmの焦点距離が異なる16個のレンズとイメージセンサーモジュール、距離測定用の1個の赤外線センサーが組み込まれ、そのうち10個のレンズが対象物を同時に撮影する。

 撮影した画像はそれぞれ13メガピクセルの解像度で記録され、これらをカメラ内蔵のソフトウエアで融合、最大52メガピクセルの一つのイメージを作成する。こうすることでデジタル一眼並みの高精細イメージが得られるとともに、ノイズも低減できるという。

 さまざまな焦点距離の光学レンズで撮影していることから、スタンフォード大発ベンチャーのライトロ(Lytro)のカメラのように、撮影後にイメージの被写界深度(ピント)も自由自在に変えられる。暗い場所での撮影に強いのも特徴としている。

 そのほか、5インチのタッチスクリーンディスプレーを備え、カメラ上での画像の編集や、Wi-Fi通信機能も持つことから、パソコンを使わずに直接、SNSで写真のシェアも行える。販売価格は1699ドル。2016年夏後半の出荷予定。11月6日までは特別価格1299ドルで事前予約を行い、同社のウェブサイト (https://light.co)から申し込める。

 ライトは2013年にパロアルトに設立。米クアルコムのポール・ジェイコブスCEO、米半導体製造企業大手グローバルファウンドリーズのサンジャイ・ジャCEOらも出資者に名を連ねるほか、フォックスコン(鴻海精密工業)傘下でモバイル機器の設計・製造サービスを手がけるFIHモバイルと4月に戦略提携し、資本を受け入れている。

 また、中国浙江省に本社のある光学レンズやカメラモジュールメーカーのサニーオプティカル(舜宇光学科技)ともパートナー関係にある。こうした提携をもとに、最終的にはマルチレンズカメラ機能を組み込んだスマートフォンの実現を目標にしている。
ニュースイッチオリジナル
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
LytroといいGoProといい、シリコンバレーのハードウエアスタートアップが次々にユニークなカメラを繰り出している現象は面白い。「カメラ王国」の日本は大丈夫か? カメラは技術的に飽和状態どころか、まだまだ発展の余地がありそうだ。

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