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ミャンマーの次はイランなのか?

きょうからテヘラン国際産業見本市。9月には政府間で投資協定の交渉スタート
ミャンマーの次はイランなのか?

2014年の見本市の模様(ジェトロ提供)

 イランが5―8日、同国最大のBツーB(企業間取引)向け展示会「テヘラン国際産業見本市」を開く。7月の欧米など6カ国との核合意後、初の大規模展示会とあり、世界中から経済人が押し寄せる見通しだ。日本は9月末の安倍晋三首相とローハニ大統領との首脳会談で官民挙げて経済協力を拡大すると表明。主要先進国に先を越されないよう市場開拓に動く。

 同見本市にはドイツやフランス、中国などの企業が大量に現地入りする見込みで、日本も日本貿易振興機構(ジェトロ)が音頭を取り、40人以上の企業関係者が足を運ぶ見通しだ。約200平方メートルの「日本館」を設置し、大手商社のほか、第一実業、デンヨー、自動車整備用リフトのスギヤス(愛知県高浜市)などが出展する。

 実は、日本とイランは歴史的に関係は良好だ。ジェトロは1958年から一貫してテヘランに事務所を構えている。核問題で米国が経済制裁を科している手前、日本企業は慎重な行動にならざるをえなかった。

 しかし、イランが核合意に達し、9月には日本政府と投資保護などを定めた投資協定交渉を開始。安倍首相も企業の進出を促しており、今後は本格的に商機を探る動きが活発化しそうだ。

 近年ではミャンマーが11年に民政移管し、現在のイランのように世界の耳目を集めた。イランはミャンマー(5100万人)より5割人口が多い上、1人当たりの国内総生産も約5000ドル(60万円)と、ミャンマー(1000ドル台)の5倍もある。より高額な製品が売れる可能性があり、日本は欧米先進国と熱い火花を散らすことになりそうだ。
(文=大城麻木乃)
日刊工業新聞2015年10月5日3面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
経済制裁解除後の市場開放を見越して、イランにはすでに欧州やアジアから企業視察団が押し寄せているそうです。その先にあるのは貿易拡大、直接交流、直行便の開設といった総合的な経済交流。確かについ最近までのミャンマーと酷似しています。

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