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パソコンの国内生産さらに上昇、Windows7サポート終了はどこまで影響した?

昨年は約800万台に回復、 「XP」との違いは
パソコンの国内生産さらに上昇、Windows7サポート終了はどこまで影響した?

米マイクロソフトのサティア・ナデラCEO(同社公式インスタグラムより)

みなさんは仕事やプライベートでパソコンに触れる機会が多いと思う。2019年は鉱工業生産指数は大きく低下したものの、上昇方向に寄与した品目の第1位はノート型パソコン、第3位はデスクトップ型パソコンになるなど、2019年はパソコンの生産増加が顕著な一年だった。これは年明けの本年1月14日でWindows7のサポートが終了する前で需要が見込まれたため、製造事業者各社が増産したことによるものと思われる。

そこで2015年基準の鉱工業指数とその元データとなる生産動態統計の調査結果をもとに、パソコンの生産動向について確認してみる。

鉱工業指数の元データである生産動態統計調査の結果を見てみよう。パソコンの生産台数について、現在の公表値で比較可能な2004年からの推移を見てみると、年間1000万台近くあった生産台数は、減少傾向で推移し、2015年には半分の500万台以下まで減少した。しかし、2016年以降上昇に転じ、4年連続で増産となった。特に2019年の増産幅が目立って大きくなっており、800万台近くの生産台数まで回復している。

続いて、鉱工業指数で採用されている、電子計算機の生産指数とその大部分(ウエイトで約9割)を構成するデスクトップ型パソコン、ノート型パソコンの生産指数の推移を見てみよう。

電子計算機の生産指数は2016年以降緩やかに回復していたが、2019年の年明けから大きく上昇し、夏場に若干、減少したものの、ピーク時の10月までに1月と比べて倍近い水準までに引き上がった。その後、足元では減少している。この傾向は2014年4月8日にサポートを終了したWindows XPの際にも同様の傾向が見られた。

なお、デスクトップ型パソコン、ノート型パソコンの内訳別で見てみると、直近2019年以降の上昇局面においては、ノート型パソコンの方がより上昇傾向が強く、デスクトップ型パソコンと比べてより増産されたことがうかがえる。

2015年基準の鉱工業指数のデータで確認可能な2013年1月以降で、これまでWindowsのサポート終了は、2014年4月8日(Windows XP)、2017年4月11日(Windows Vista)、今回の2020年1月14日(Windows 7)と計3回あった。これらのサポート終了月を基準にして、電子計算機の指数の動きを比べてみよう。

まず、生産指数だが、サポート終了月を基準にして指数の動きを確認すると、Windows Vistaについては、Windows XPなどと比べて広く普及しなかったことなどから、サポート終了時には指数変動がほとんど見られなかったものの、Windows XP終了時とWindows 7終了時ではおおむね1年前から上昇傾向になり、3~5か月ほど前にピークを迎えるといった動きとなっている。

今後、Windows 7終了後も、電子計算機の生産がWindows XP終了時と同じ動きをすると仮定すると、半年程度は緩やかな減少傾向が見込まれ、元の水準付近まで戻ることになるが、実際そうなるかが注目される。

他方、電子計算機の在庫指数で同様にサポート終了月を基準に見てみると、Windows XP終了時前後は指数変動がとても大きく、特に終了月に大きく在庫が積み上がる動きが見られたが、Windows Vista終了時とWindows 7終了時ではあまり大きな動きにはならなかった。Windows XP終了時での教訓から、Windows Vista終了時以降は在庫があまり積みあがらないような生産計画が立てられているようにみられる。

今回、Windows 7終了時に関しては、本年1月のサポート終了までは生産ではWindows XP終了時と同様の動きをしていたが、在庫では異なる動きをしていた。このことが、2月以降の電子計算機の生産動向にどう影響してくるのか、今後の生産、在庫の動きが注目される。

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