若者の買い物動向を変える「パーソナルカラー」はなぜ人気なのか?

色が変えるビジネス #4パーソナルカラー

ららぽーと柏の葉でのイベント(フォーシーズンごとにファッションを提案)

あなたは「春」「夏」「秋」「冬」どのタイプ?―2018年頃からファッション・美容雑誌やSNSを賑わせている「パーソナルカラー」をご存じだろうか。肌や髪、目の色によって人それぞれに似合う色が違ってくる。若い層を中心にメイクやファッションにパーソナルカラーを取り入れることが流行しているが、意外にもその歴史は長い。 1980年代にアメリカで色を四季になぞらえて分析する「フォーシーズンズカラー」の方法が考案された。日本に入ってきたのは1980年代半ば。バブル景気の波に乗り、女性を中心に広がっていった。  その後何回か盛り上がっては下火を繰り返していて、直近では2017年ごろから火が付いた。従来は比較的高い年代が主役だったが、今回のブームは高校生などの若者層が中心になっていることが特徴だ。  「インスタグラムなどのSNSの普及で『どう見られるか』を気にする機会が増えた面があるのでは」と日本パーソナルカラー協会(東京都渋谷区)本部講師の佐藤敬子氏は話す。  また情報伝達が早くなり、全国均質化していることが色に与える影響もある。昔は地域によって嗜好色が違ったが、今はほとんど差がなくなっているという。 パーソナルカラーを診断するときは、その人の肌や目の色と似た色を探すというより、その色を当てたときに顔の印象がどう変化するかを見ている。(※)  「この『変化』には法則性があり、誰に当てても共通しているというのが長年の研究やデータで分かってきています。そして誰が見ても同じように感じます。これを私どもでは『共通心理』と呼んでいます」(佐藤氏)。 変化は色の属性によって異なる。色の特徴には「色相」(色味)、「明度」(明るさ)、「彩度」(鮮やかさ)、「清濁」(透明感か濁った色か)の4つに分けられる。 例えば「色相」では、黄味よりの色を当てると顔に色が付く感じに見える。逆に青みがかった色を当てると顔の色味が引くので色白に見える。  「最近、『イエローベース(イエベ)』『ブルーベース(ブルベ)』を肌色の分類としているものをよく見かけますが、その方の肌が黄み青みなのではなく、色を当てた時にどう見えるかで判断しています」と佐藤氏は説明する。  イエベの色を当てた時に血色よく見えれば似合う色。逆に色が付きすぎて赤ら顔に見えたり、黄ばんで見えたりするとあまり好ましい色ではない。もともと黄みが強い人だと、黄色がプラスされることでくすみにつながることもある。また、ブルべの色を当てて透明感が出れば似合っているし、青白く不健康そうに見えれば好ましくない。  実際に色を当ててみると第一印象と違ったということもあるので、さまざまな特徴を持つ色を細かく当て、その反応を見て判断していく。 またベース(黄み青みの違い)だけでなく、似合う明度(顔の明るさや輪郭の見え方に影響する)、清濁(主に肌の質感に影響する)も関係する。「昔のパーソナルカラーであれば、『スプリング』と判断されたらその範囲の色しか似合わない、というイメージがありましたが、『その人をなぜスプリングと判断したのか』を提示し説明することで、フォーシーズン関係なく効果的に色を選び、印象を変えていくことができます」(佐藤氏)。苦手な色も使ってはいけないというわけではなく、バランスを取ることが大事だという。 色を見た時にどういう要素を持っているのかを知らなければ、その色がもたらす変化を読み取れない。協会の主催するパーソナルカラー検定では色を見分ける力を養うことと、法則的な変化の理論や配色効果を学ぶ。色彩学の基礎も学ぶ。検定はモジュール1~3(初級~上級)で構成されており、上級ではモデルを用いて色ごとの変化を見る。  認定講師は250人(2020年2月現在)。毎年5000人ほどが受検しており、韓国、台湾でも検定を行っている。 2001年の開始当初は色を使った仕事をしている方が多かったが、次第に美容関係者が受検するようになった。最近は服飾関係が増えてきて、それに伴い男性の受検者も増加している。  ブライダル関係も多く、ドレスやメイクだけでなくテーブルコーディネートなどの空間演出にも応用できるため人気が高い。演出したい雰囲気によって、例えばカジュアルで楽しい雰囲気にしたい場合は春の属性の色でまとめると統一感がでる。  最近では漫画やイラスト関係の学校に通う人の受検も増え、ゲームなどのキャラクターデザインに活かせるという声もあった。似合う、似合わないだけでなく、「やわらかい雰囲気を出したいキャラクター」に合った色合いなど演出にも役立っている。  そのほか、「色の属性による変化で印象を演出する」という効果もあるため、オーディションや面接で自分を演出するために勉強する人もいるという。 パーソナルカラーを見て服や化粧品などの商品を選ぶようなサービスをしている店舗も増え、新しいサービスの一環になっている。  ある百貨店では社員に認定講師がおり、社員教育の一環としてパーソナルカラーを教えている。婦人服や化粧品だけでなく、紳士服でも、パーソナルカラー診断によってセット率(スーツ、シャツ、ネクタイなどを合わせて買う)が増えるという。  同協会では、ショッピングモールにてフォーシーズンにあわせたトータルコーディネートを展示するなどの取り組みもしている。  また、着物の展示販売イベントなどで診断を行うことも多い。フォーシーズンの分類だけでなく、着物や帯の配色も関わってくることや、商品単価が高いことにより「確実に似合うものを買いたい」というニーズが高いという。  パーソナルカラーを応用した商品開発も行っている。例えばストールで見せたい印象ごとにタグや名前を付けたり、ストッキングやベージュカラーのパンプスなども開発した。 近年、化粧品ブランドやファッションブランドも、こぞってパーソナルカラーを取り入れた商品提案やプロモーション活動を行うようになっている。パーソナルカラーが商品に興味を持つきっかけになり、“似合う”という裏付けのようになるため購入に繋がりやすい。  次回はスマートフォンで簡単にパーソナルカラー診断を行うウェブサイトを開発し、商品プロモーションに繋げているコーセーを取り上げる。 (※)パーソナルカラーの診断には一般的に、「ドレープ」と呼ばれる色のついた布を使用する。ドレープを首下にあて、色ごとの顔の見え方の変化を診断する。 【特集・色が変えるビジネス】  商品やサービスのイメージを伝え、消費者の心を直感的に掴む「色」。その背景には、トレンドを細かく分析したり、世界観を作りこんだりと各社の綿密な戦略がある。色が変えゆくさまざまなビジネスを取材した。

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