新型コロナで“急ブレーキ”、鉄道各社の業績に打撃

新型コロナウイルスの影響で、国内の移動需要が急速に冷え込んでいる。感染拡大を防ぐため、学校は臨時休校となり、企業も在宅勤務を推奨するなど、通勤・通学の鉄道利用者は減少。新幹線を使った出張や観光を取りやめる動きも広がる。固定費型ビジネスの鉄道で、稼働率低下は収益の押し下げに直結する。採算悪化を回避すべく、輸送力の適正化に取り組み始めたが、効果は限定的で、業績への影響は避けられない。(小林広幸) JR東海は14日から東海道新幹線の速達型「のぞみ」を1時間当たり最大12本と、従来比2割増やせる運行体制に移行した。だが、コロナ影響による需要減退に見舞われ、その真価を発揮できるのは当分先になりそうだ。金子慎社長は「春休みとゴールデンウイークに、今までにない増発をしようと期待していた」と残念がる。 1―9日の、のぞみ利用率は前年同期比57%減と大きく落ち込んでいる。ビジネス需要がメーンの東海道新幹線では、出張の手控えが効いている。さらに大規模なスポーツや文化イベントの自粛、テーマパークなどの休園によるレジャー需要の冷え込みも深刻だ。 平時の需要変動ならば、臨時列車の増減で調整できるが、需要の底が抜けた現状では、それも限界がある。東海道新幹線の座席平均利用率は18年度に66・4%。JR東海の単体で約4割という高い経常利益率は、高い稼働率に支えられている。 他社の新幹線も落ち込みは顕著だ。JR西日本は1―14日の利用が、山陽新幹線で前年同期比54%減、北陸新幹線で同56%減。JR九州の九州新幹線は1―7日の利用が同46%減。 観光地は閑散とした所ばかりではなく、各所で若い日本人客が目立つようになった。訪日外国人客が減ったのに加え、日本人の国内旅行を牽引(けんいん)してきたシニア層も感染を避けるため、旅行を手控える傾向にあるようだ。 首都圏の人の動きも低調な状況が続く。JR東日本の山手線では「朝ピーク時の輸送量が1―2割程度減少している」(深沢祐二社長)と話す。在宅勤務やピーク時間帯を避けた通勤で、満員電車の混雑率が下がる効果は表れている。この傾向は都心をネットワークする東京メトロも同様だ。定期で2割、定期外で3割ほど利用客が減っているという。 公共交通機関として一時的に稼働率が悪化したからといって、簡単に間引き運転などは実施できない。利用低下による収入減は、そのまま利益減となる。JR東では1日当たり15億円規模の減収が発生しているという。 JR上場4社の2020年3月期業績は、前半に好調だったこともあり、2―3月の不振だけで、すべての利益が飛ぶところまでは行かない。ただ次年度に、どれだけの影響が続くのか。コロナ問題が長期化すれば、暫定的なダイヤ編成のような善後策も、考えなければならなくなる。

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