広島県のIT実証「ひろしまサンドボックス」成果や課題が見えてきた

工作機械の表示灯に後付けした照度センサー。機械の稼働時間などをシステムで収集する

広島県による最先端ITの実証事業「ひろしまサンドボックス」。プロジェクトの中で、唯一製造業関連のテーマが、デジタルソリューション(広島市安佐南区)を代表とする9者が進める「つながる中小製造業でスマートものづくり」。2年目が終わろうとする今、成果や課題が見えてきた。(広島・清水信彦) このプロジェクトで開発するのは四つのシステム。まずは工場で使う工具類の使用場所を可視化するシステム。次に、工作機械の稼働状況を可視化するシステム。三つ目が、人工知能(AI)で機械の耐久性を予測するシステム。最後に生産のスケジュールを最適化できる生産管理システムだ。 工具の可視化システムは、工具や測定具に2次元バーコードを付けておき、使用者が保管場所から持ち出すたびにそれを読みこむと同時に、使う場所などを入力する。工具を探す時には、システムで検索をかければ一目瞭然となる。 工作機械の可視化システムは、稼働状態を示す表示灯に照度センサーを後付けし、データをクラウド上のシステムに収集。個々の工作機械の稼働時間や生産個数などを集約して管理する。 AIはデジタルソリューションが独自開発したソフトを使用。メンバーの広島精機(広島県廿日市市)製のギアポンプを使い、振動や表面温度、流体の圧力と温度、流量の各データを収集・分析し、オイル漏れ故障が起きるまでの時間を推測できるかを検証する。 生産管理は、生産スケジュールの作成や変更、さらには最適化ができるソフト。現在紙や掲示板の上で人手で行っている作業をシステム化する。このうちAIと生産管理の導入と検証はこれから。工具管理システムは広陵発條製作所(広島市西区)に導入したが、工具を使う際に場所などを登録する作業が手間がかかるという反応だという。 四つのシステムのうち、もっともIoT(モノのインターネット)らしいと言える工作機械の可視化システムは広陵発條と津田製作所(広島県廿日市市)の工場に導入した。これまで曖昧だった機械の稼働状況が把握できるようになり「対策が打ちやすくなった」といった感想が聞かれたという。 いずれのシステムも心を砕いたのはとにかくコストを抑えること。「中小製造業では、例え月数万円のシステムの利用料でも二の足を踏む。導入の効果をいかに見せていくかが重要」とデジタルソリューションの高下和浩さん。サンドボックスの期間は2020年度までの3年間。事業終了後は開発した成果物を使って自社で事業化することもできる。「広島発のシステム製品として、なんとかよそにない特色を打ち出していきたい」とデジタルソリューションの橋詰公太さんは話す。

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