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ヒヤリハットを疑似体験!トラック事故のVR映像で運転手育成

23日、安全教育サービス開始

WacWac(ワクワク、東京都練馬区、佐々木章太最高経営責任者〈CEO〉)は、トラック運転手向けに仮想現実(VR)を使った安全教育サービスを23日に始める。運転手は映像で事故や失敗を疑似体験ができ、教育効果が高まる。待ち時間を活用して受講できるので、労働時間の短縮にもなる。中小規模のトラック事業者は負担が抑えて国土交通省が求める教育を効果的に実行できる。

教育サービスの料金は、運転手20人程の事業者だと入会費などが15万円、機器費用8万円、毎月の利用料が5万円。契約すると運転手が装着したヘッドマウントディスプレーに教材動画を配信する。動画は1項目1分30秒程で、全部で12項目ある。運転手は出発までの時間に受講できるので集合教育の時間を短くし、その分を運転や休暇に充てられる。

動画は死角で起きる事故、荷物のバランスが崩れることでの横転など、トラック特有の事故や失敗シーンをVRの特徴を生かして編集した。

受講者は運転席にいる感覚で「ヒヤリハット」を疑似体験ができる。講義だけの教育よりも安全への意識付けとなる。

トラック事業者は負担軽減と効果的な教育を両立できる。ワクワクのシステムは、受講を終えた項目がデータ保存されるため運転者ごとに進捗(しんちょく)管理ができ、受講記録を保管する書類作成の手間を省ける。

業界は中小事業者が大半で、教育に経営資源をさけない事業者もいる。またトラック運転手は他業種よりも労働時間が長く、教育の時間確保も課題だった。

佐々木CEOは大手物流会社に勤務しながらVRによる教育事業を発案。企業の垣根を越えた人材が集まる「未来技術推進協会」に参画し、支援を受けながら起業した。

日刊工業新聞2020年3月17日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
ヘッドマウントディスプレーを装着して体験しましたが、突然、予想もしていない方向から人が飛び出してくるとVRであっても心臓がドキドキしました。恐怖が感じられるので、勉強が身になります。事故が起きると事業者もドライバー も輸送機会が減ります。仕事を失わないために教育の充実が必要です。

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