業務委託のメンバーに予算と権限、正社員ゼロの企業が取り入れたプロジェクト管理法

連載・副業市場 遠隔マネジメント #04

tsumugの東京オフィスと牧田社長。本棚には従業員らが買った技術書や経営書が並ぶ

スケジュール管理はプロジェクトの成否を左右する要素の一つだ。内製か外部委託かにかかわらず、締め切りに間に合わないと判明するのが、締め切りの直前であることが多くリカバリーが大切になる。遠隔勤務や副業人材は気が付くのが遅れて全体への影響が大きくなることもある。 tsumug(ツムグ、福岡市中央区)はスマートロックやこれを利用したワークスペースサービスを開発するスタートアップだ。20人のメンバーは全員正社員ではなく、業務委託かアルバイトとして働いている。業務委託のメンバーには予算と権限を与えている。業務の内容や予算、期間、権限は可変だ。 例えば月の予算を100万円とすると、その範囲内でアルバイトを雇ったり、新しい機材を買ったり、ITツールを試したりできる。牧田恵里社長は「締め切りに間に合わないと判断すれば自分の裁量で人を雇える。技術的な内容をエンジニアでない経営者が判断する時間がもったいない」と導入を決めた。経営者としてはリスクと予算を上限管理しつつ、意思決定の時間を節約して事業を加速させる。 リカバリーの柔軟性確保だけでなく、予算は自身の勉強のために使ってもいい。高めの技術書を購入したり、新しいアプローチを試したり、失敗だったら社内に知見を共有する。「自分のお金だと手を出しづらいチャレンジも、会社のお金だとやりやすくなる」(牧田社長)のが狙いだ。 損得を考えると全額使ってしまうのが得だが予算を使いきらないメンバーが多い。古田和歌子マネージャーは「説明責任のようなプレッシャーがあるのか、みな使いなれしていない」と明かす。 契約に業務時間や場所の制約はないが、働きやすさや居心地を求めてツムグのオフィスを選ぶ人が多い。柔軟な制度や環境を整えたのは自身で自分の仕事を推進する人を集めたかったからだ。契約の際には業務委託や正社員などを提案するが、専属でも業務委託を選ぶ従業員が多い。 同社ではタレントやレーサーなど多様な人材が働いている。エンジニアタレントの池澤あやかさんは「エンジニアとしての私を支えてくれる大切な会社」という。芸能活動は忙しさに波があるが、裁量の中で両立させている。牧田社長は「フリーランスは正社員に劣るというイメージを変えたい」という。例えば従業員の雇用形態によってスマートロックのセキュリティーが守られているわけではない。成果がまっとうに評価されれば働き方は自然と多様になる。(取材・小寺貴之)

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