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富士通が年功序列を撤廃、「営業」という名前もなくなる!

デジタル改革加速へ、社内の仕組み刷新
富士通が年功序列を撤廃、「営業」という名前もなくなる!

海外IT企業では珍しくないTシャツやジーンズでの勤務も解禁した(時田社長、昨年10月撮影)

富士通はデジタル変革(DX)を担うITサービス会社への転換に向けて、年功序列の撤廃など、電機メーカーとして培ってきた社内の仕組みや人事制度などを4月から順次刷新する。まずは「営業」という組織名をなくし、客先との共創に軸足を置く「ビジネスプロデューサー」職に改めるなど、グループを含め国内営業部門1万人強の改革にメスを入れる。全社で課長職以上の幹部の報酬体系を見直し、年内にも年功序列を完全撤廃する。

時田隆仁社長率いる新体制では、4月に始動するDXの新会社「リッジラインズ」を改革の先導役とする一方で、収益の源泉となる富士通本体も「リッジラインズを超える勢いで改革を進め、グローバルカンパニーを目指す」(古田英範副社長)方針。

人事制度の改革は年齢を問わず、職務上の役割に応じて報酬が決まる「ジョブ型制度」を導入し、全社従業員13万人の意識改革を加速する。役割が空けば社内外から公募する。

さらに4月から商品開発や企画、ブランド戦略なども国内外で一貫性を持たせる。これまではITサービスやソフトウエア開発を中心に横串を通して標準化などを進めてきたが、今回は地域や領域ごとにまちまちだった営業などのフロント部門(対顧客の前線)にも改革のメスを入れる。これにより、米IBMなどの外資系IT企業と同様に、グローバル展開する大手企業に対して一枚岩となって取り組む体制を築く。

主力のソフト・サービス事業は4月に営業とシステムエンジニア(SE)を再編し、約5年ぶりに製販一体とする。

その上で、国内外一体で製造・流通や金融・小売り、インフラサービスなどの5グループを束ねる「グローバルソリューション部門」と、官公庁や病院・学校、社会インフラなどの国内中心の「ジャパンリージョン」、欧米など5地域を束ねる「海外リージョン」に大ぐくりで再編する。

一連の改革に伴って、日本とアジアを一体化した「ワンアジア戦略」や、ソリューションと地域を縦横で重ね合わせた「グローバルマトリクス体制」、デジタル事業を先導する「デジタルイノベーター」職は廃止する。

日刊工業新聞2020年3月5日

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