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島津が新型コロナを迅速検出する検査キット開発へ、ノロウイルス向け応用

島津が新型コロナを迅速検出する検査キット開発へ、ノロウイルス向け応用

国立感染症研究所で分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

島津製作所は新型コロナウイルスを迅速に高感度で検出する検査キットの開発に乗り出した。同社のノロウイルス検出試薬キットを応用するもので、喉などから採取した検体を用い1時間での判定を見込む。現在、陰性判定を受けてもその後の再検査で陽性反応が出るケースが問題視されている。島津の方式は「陽性をしっかりと陽性と判定し、偽陰性の確率が低い」(同社幹部)という。

ノロウイルスとコロナウイルスは共にRNA(リボ核酸)ウイルスで構造も近い。独自のAmpダイレクト(遺伝子増幅用試薬)技術により、RNA抽出などの工程を不要にして短時間でノロウイルスを検出する試薬キットの応用活用が見込めるという。

人工ウイルスでの性能確認を進めるほか、本物のウイルスでも検証すべく、厚生労働省や国立感染研究所などと調整に入った。海外でも感染者が100人を超えたシンガポール当局と調整を進めているもよう。早期の実用化を目指す。

新型コロナウイルスの猛威が社会に大きな影響を及ぼす中、日本では韓国などと比べて少ないとされる検査体制の拡充が求められている。従来法で6時間ほどかかるウイルス検査の判定時間の短縮に向け、国の機関や大学、多くの企業が検査機器や試薬開発に急ピッチで取り組んでいる。

日刊工業新聞2020年3月4日

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