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三菱製紙、プラ代替の食品包装用紙を国内生産に切り替える理由

三菱製紙はドイツで生産してきた、プラスチックを代替する食品包装用紙の国内生産販売に乗り出す。5月をめどに発売し、2025年度までに年20億円の売上高を目指す。海洋プラスチックゴミ問題を背景に、プラスチック代替素材の需要が高まっている。また日本の食品メーカーの性能要求が欧州より強いことから、機能を高めた食品包装用紙を開発し、国内で生産販売することにした。ドイツでの生産販売は継続し、欧州市場での事業拡大を狙う一方、アジア市場は日本からの輸出で市場を深耕する。

国内生産販売する食品包装用紙は、レシートなどに使う感熱紙の塗布技術を活用し、酸素や水蒸気バリアー性を高めるとともに、包装紙全体に熱で接着する機能を加えてヒートシール性を向上させる。優れた生分解性やリサイクル性を持つ包装用コート紙「バリコート=写真」と「バリシェルパ」を5月をめどに発売する。高砂工場(兵庫県高砂市)と八戸工場(青森県八戸市)で生産する。

バリコートはプラスチックフィルムを貼り合わせないラミネート(積層)フリーで食品や日用品・衛生品の軟包材として使用できる。バリシェルパはプラスチックフィルムとハイバリアーの包装用コート紙との積層品。現行のプラスチック包装フィルムのヒートシール特性や強度特性を維持したまま、プラスチック使用量を削減できる。また、植物由来の生分解性プラスチックフィルムと組み合わせられる。

三菱製紙は、ドイツのグループ会社で15年に食品包装用コート紙のバリコートを開発、19年3月に欧州大手食品メーカーに採用された。19年9月にはドイツから輸入し日本でも発売したが、日本での販売を強化するため、国内でも生産する。今後は、国内生産した食品包装用紙を東南アジアや中国などアジアに輸出する考えだ。

日刊工業新聞2020年2月28日

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