車載向け小型キャパシターの需要がスゴイ!日本ケミコンが生産能力2倍へ

緊急時のバックアップ用電源ニーズ取り込む

小型サイズのリード形電気二重層キャパシター(標準品)

日本ケミコンは小型の電気二重層キャパシター(EDLC)の生産体制を増強する。100%子会社のケミコン山形(山形県長井市)の米沢工場(同川西町)に生産ラインを1本増設し、生産能力を現状比2倍の月産100万個体制にする。秋までの稼働を目指す。設備投資額は2億―3億円とみられる。車載向けに緊急時のバックアップ用電源としての需要が高まっており、これを取り込んでいく。 増強するのは、直径18ミリ×長さ50ミリメートル(標準タイプ)の小型サイズのリード形EDLC。EDLCの生産棟内の既存の生産ラインの隣の空きスペースに設備を導入する。 車の電動化に伴い、事故で電源システムからの電源供給が途切れた場合でも、ドアを開くだけの少量の電気が必要とされている。日本ケミコンはこのドアロック解除用に小型のEDLCが役立つと考え、小型品を開発。アルミ電解コンデンサーの生産設備のノウハウを移植して、後発ながら、2018年にケミコン山形の米沢工場で国内車メーカー向けに量産を始めた。「顧客も何社か増えており、今年増強しないと(供給量が)足りなくなる」(日本ケミコンの上山典男社長)ことから生産体制増強を決めた。 同社は燃費向上のための減速エネルギー回生システム用に大型品を開発。12年以降、これまでにマツダなどに採用されている。 ―2021年3月期に期待する市場は。 「自動車市場はもちろんだが、一番は第5世代通信(5G)関連市場だ。中でも基地局向けでは導電性高分子アルミ固体電解コンデンサーの引き合いが強い。小型化・高密度化が進み、基地局の機器内温度85度Cくらいを想定し、10年間の稼働保証を要求されることも多い。当社はそうした要求に応えられるよう、125度Cで6000時間対応の『PXQシリーズ』を開発した。耐湿性も85度C85%RH(相対湿度)で1000時間を実現した」 ―CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)領域では、シェアリングを除く3領域に打って出ていくとしています。 「コネクテッドや自動運転領域では、導電性高分子コンデンサーが5―6年前から海外の自動車メーカーからの引き合いが強い。自動運転絡みの受注で売上高が右肩上がりに増加している。電動化については、電気自動車(EV)本格化までのつなぎの期間としての48ボルトの低電圧で駆動するマイルドハイブリッド車(HV)向けでハイブリッドコンデンサーがここ1―2年特需が起きている。抵抗が小さく発熱を抑制できるため、数十個並べて使われている。設備増強せざるを得ない時期にきている」 ―電気二重層キャパシターは小型品の増強を計画しています。 「生産能力を現状比2倍の月産100万個体制にしたい。電源システムからの供給が途切れても、ドアロックを解除できるエネルギーを供給するような電源失陥用のニーズが高まっているためだ」 ―生産性向上に向けた取り組みは。 「20年3月期までの3カ年の中期経営計画では、設備総合効率(OEE)とOEEを時間換算した設備機器総合有効性生産力(TEEP)の二つの指標を導入して設備の稼働率向上に向けて取り組んでいる。生産量が減った時に人員を1ラインに集めれば(生産ラインが断続的に停止する)“チョコ停”を回避できるが、生産量が増えて人員が各ラインに戻ると各ラインの稼働率が落ちてしまう。課題は見えている。後は一つずつつぶすだけだ」 【記者の目】 上山社長は中計の計数目標に関して「0勝8敗になりそうだ」と継続的な未達を嘆く。その一方で「外部環境に左右されるところを目標にすると、『目標を達成しなければ』という意識がなくなってしまう」とも。21年3月期からの3カ年の第9次計画で達成できる目標を掲げ、着実に遂行できるかが経営手腕の試金石になりそうだ。 (山谷逸平) <関連記事>

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