【連載】よくわかるCOP21(4)

日本、先進国で最も遅く目標を決定

エネルギーミックス

**電源別の長所(=○)、短所(=×)   ○ 広域に電力供給       × CO2増、自給率が低い、燃料費上昇   ○ 安価 CO2少 広域に電力供給        × 安全性、使用済み燃料処理、コスト上昇  ○ CO2少、燃料費なし       × いまは高コスト、小規模・不安定   ○ CO2少 燃料費なし       × 小規模・不安定  日本政府は7月、30年までに温室効果ガス排出量を13年比26%削減する約束草案(目標)を正式決定し、国連の条約事務局に提出した。主要7カ国(G7)で最も遅くなったが、ようやく日本の目標が決まった。  COP20では「準備ができた国は3月までに提出する」ことが求められていた。日本が期限に間に合わなかった最大の理由がエネルギーを巡る混乱だ。  11年の東日本大震災後の原子力発電所事故を受けて電力不足が発生。各地の原発が停止する中で、電力の安定供給が優先され火力発電所の稼働が急増した。  火力は燃料の燃焼時にCO2を多く排出する。影響がもっとも表れたのが13年度だった。国内の温室効果ガス排出量は14億8000万トンと過去2番目に多かった。90年比10・8%の増加だ。京都議定書第一約束期間の目標は達成したが、火力依存度の高まりと景気回復もあり、今後も排出増加は避けられない状況となった。  民主党政権時に国際公表した20年に90年比25%減とした高い目標は撤回し、政権交代後に20年目標を05年比3・8%減に修正した。京都議定書の第二約束期間(13-20年)には、排出量が増えている途上国が参加しないことを理由に参加を見送った。ただし10年に開催されたメキシコ・COP16の「カンクン合意」に従い、20年までは自主的に削減に取り組んでいる。  震災・原発事故から時間が経過してもエネルギー問題の解決策は簡単に見いだせない。しかしCOP21開催までの温室効果ガスの削減目標の決定が迫れていた。政府は目標の前提となる2030年の電源構成(エネルギーミックス)の割合を決める議論も平行して進めた。  そのエネルギーミックスは「3E+S」が条件。3Eは、安定供給(エネルギー安全保障)、経済性(コスト)、環境(温暖化対策)、Sは安全性だ。  環境で重要となったのが、温室効果ガス削減目標を「他国に比べて遜色ない数値」にすることだった。09年のイタリアのラクイラサミットでは、先進国が50年までに8割以上削減する目標が合意されている。米国は国連に提出済みの目標が50年目標の道筋に沿っていると説明している。日本も新たに作る目標を50年目標を見すえた数値にする必要があった。  現状のまま火力への依存度が高いままだと温室効果ガスの排出の増加だけでなく、燃料費がかさみ、電力コストが上昇する悪循環が続く。それに燃料の輸入に頼るためエネルギー自給率も低いままだ。つまり「3E」が満たされない。  発電時のCO2排出が少ない原発と再生可能エネルギーの導入割合が高いほど温室効果ガスの排出が減る。とはいえ原発、再生エネとも課題がある。原発は広い地域に大量の電力を供給できるが、事故を経験しており、安全性の確保がなければ原発の割合を増やせない。再生エネは高コストで、大量の電力を発電できない。また太陽光と風力は発電が安定しない課題もある。  こうした電源別の長所、短所を見極めながら7月に正式決定した30年時点のエネルギーミックスは、総発電需力量に占める割合は原発20-22%、再生エネ22-24%となり、火力は53%に落ち着いた。さらに「徹底的な省エネ」によって電力需要は13年度比17%減、輸送や給湯などに使うガソリン、ガスなども含む全エネルギー需要は同13%減とすることも決まった。  エネルギーミックスをベースに温室効果ガス排出削減目標は13年度比26%減となった。26%のうち1%は製造工程や空調機器から漏れ出す温室効果ガスで、大部分の25%が電源構成や「徹底した省エネ」による削減分だ。

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