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事務機器・文具を扱うメーカーがドローン販売、きっかけは「熊本地震」

多方面で用途が広がる飛行ロボット(ドローン)。事務機器や洋紙、文具などを扱うレイメイ藤井(福岡市博多区、藤井章生社長、092・262・2222)がドローン販売を切り口に、法人顧客との接点強化や個人の新たなユーザー開拓に活路を見いだそうとしている。

2019年11月に本社ビルに開設した「DJI認定ストア 福岡博多」は、中国DJI製ドローンを扱う専門店。農薬散布に使える大型機種から200グラム未満の小型タイプまで多彩なモデルを展示する。メンテナンスも受け付けており、法人個人を問わず訪れる。

事業展開のきっかけは、16年に発生した熊本地震へさかのぼる。被害状況の空撮などでドローンの需要が高まり、「取り扱いがないか」と問い合わせが寄せられた。

思わぬ動きだったが、藤井社長は「ホビー用ドローンを展示会で披露していたことも問い合わせにつながったのでは」とみる。熊本で創業し、九州を地盤に展開する企業にとって、災害は新事業に踏み出す足がかりとなった。

ドローンの市場調査を本格的に進め、DJI製品に着目した。取り扱いを広げ、インストラクター育成なども進めながら販売体制を整えていった。その流れで正規販売店のセキド(東京都国立市)と組み、OA機器のショールームだった本社ビルのスペースをドローン販売店に変えた。

ドローン販売は既存事業との相関性が低いと考えていた。店舗開設をきっかけに会社自体が注目され、他社と組んでPRを手がける印刷会社が関心を示すなど既存取引先のニーズも徐々に高まっている。

ドローンは販売だけでなく、操縦技能を高める場として自社倉庫を活用し、4月をめどに屋内練習場の開設を予定している。藤井社長は「離島や山間地への少量輸送などドローンを活用するシーンは増えていく」として、今後の可能性を見据える。(西部・高田圭介)

日刊工業新聞2020年2月14日

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