“地域の新聞社“倒産、平成の時代を駆け抜けたフリーペーパーがまたひとつ消える

「リベルタ」発行の神奈川中央新聞社、約30年の歴史に幕

近年は休刊の動きが相次ぐフリーペーパー(写真はイメージ)

無料の地域情報紙「リベルタ」を発行していた神奈川中央新聞社は1月21日に破産手続き開始決定を受けた。同社は、バブル景気後半の1990年2月に設立され、神奈川県大和市を中心に横浜市内、湘南地区を主なエリアにフリーペーパーの発行を手がけてきた。 情報紙に掲載する広告収入を中心にポスティング受託、印刷物企画なども手がけた。各地区にあった「地域密着の街づくりに貢献するタウン紙づくり」を目指し、約1500社にのぼる広告主を獲得。一時は6地区版を取りそろえ、約50万の総発行部数を誇り、ピーク時の2001年11月期の年売上高は約3億6900万円を計上していた。 しかしその後は国内経済の悪化を受け、業績は下降線をたどった。このため事業所閉鎖など固定費削減に注力したが、リーマン・ショック後はさらに業況は悪化。広告収入の減少から順次休刊に追い込まれ、最終的には2版に減少した。 17年には本社のみの運営に移行したが、インターネット広告など他媒体との競合が続き広告収入は低調に推移。18年8月期の年売上高は約1億9000万円に落ち込み、3期連続で営業段階からすべて赤字計上となった。財務面は債務超過を脱せず資金面も余裕がなくなっていった。19年に入ると、さらに業況は厳しさを増した。11月末には休刊を公表。以降は実質的な活動を停止するなか、約30年の歴史に幕を下ろした。 かつては時代の追い風を受け、さまざまな媒体が乱立したフリーペーパー業界。しかし近年は休刊の動きが相次ぐなか、同社のような零細業者ではおのずと限界があった。インターネット広告へのシフトが急務と分かっていながらも投資負担に耐えられるだけの経営体力は残っておらず、他社との競合に勝ち抜くほどの独自性も持ち合わせていなかった。「地域密着」を掲げて平成の時代を駆け抜けたフリーペーパーが、またひとつ姿を消した。 (文=帝国データバンク情報部)

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